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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

14月の船(3)</b><font color=#FF0000>(GWboH.a6)</font><b>:2003/03/02(日) 14:10
一般的に人は親の愛情に触れて愛するという感情を覚えていくものだが、
明には その肝心な過程を得られなかった。
それは すなわち情を知らない事になる。情に触れることが少なかった
者は、人間関係に やや不器用なところがあるのが多い傾向にある。
明は愛情には関心がなく、自分には縁のないものと思っている節がある。
男と女は成長して成人になると自然の法則に習い、結ばれて子を成し、
血脈を絶やすことなく新たな命を この世に生み出す。
生きとし生ける者達のごく自然の道理の輪から逸脱している自分を以前
は特に何も感じなかった。
でも、今は違う。
もう二年も前のことになるが、都に多くの妖怪が現れて、近衛などの
多くの人達で命がけで妖怪討伐した時から自分の中の何かが変わりだし
た。あの時、初めて人の情に直に触れた。
近衛に自分の手を握られた出来事は、昨日の事のように今でも その情景
が鮮やかに脳裏に甦る。
明は賀茂一族から異端視されて、人の手ではなく幼い頃から式神達の手で
育てられた。だから、人の肌の暖かさを知らずに十年以上も生きてきた
経緯がある。
近衛の柔らかく暖かな手の感触は、明に大きな衝撃を与えた。
他人と一線を置いてきた明は、その時 初めて人と触れ合って生きていき
たいという人間として当たり前な感情が湧いた。暖かな手は、明の身の上
を改めて孤独なのだと心身に痛感させ、また自分の本心に気付く結果と
なった。


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