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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

138Trap23</b><font color=#FF0000>(F8h.WANA)</font><b>:2003/06/24(火) 00:22
「行け!アキラ!!」
緒方が突き放すように、アキラを押しやった。

それからのことは、よく覚えていない。
アキラは無我夢中でやみくもに走った。
力の入らない身体で、必死に出口を、光を目指して、駆け続けた。
誰かが追ってくる気配がしたけれど、それも途中で消えていった。
このまま走れば、本当に外に出られるのだろうか。
また、あの温かい世界に戻ることが出来るんだろうか……。
進藤がいて、碁を打って、時にはケンカをしたりして。
他愛もない日常の断片が、アキラの頭の中をよぎっていく。

――ザァッ。冷たい風が、頬に吹き付けてきた。
倉庫を出ると、深い夜の闇がアキラを迎え入れた。
光も温もりも存在しなかったが、それでも閉鎖された異空間から解き放たれたようで、
アキラは初めて大きく息を吸い込んだ。
すぐに緒方の車は見つかった。急いで助手席に乗り込む。
緒方の言った通り、ドアは開いていて、車にはキーが刺さったまま、エンジンはかかりっぱなしだった。
一人、助手席のシートに座りこんだアキラの身体はガタガタと震えている。
(…緒方さん…)
ガランとした隣りの運転席を見つめながら、アキラは置いてきてしまった緒方のことを思う。
どうか彼が無事に戻ってきますように……。
祈るような気持ちで、アキラは膝を抱えて、顔を伏せた。

――それから、どのくらいの時間が経ったのか。
ガチャリ。音がして、突如、運転席側のドアが開いた。
ビクッ。アキラの身体が大きく震えた。
顔を上げるのが怖い。もしも緒方でなく、男達の誰かだったら……。
だが、息の詰まるような時間は、そう長くは続かなかった。


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