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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

137Trap22</b><font color=#FF0000>(F8h.WANA)</font><b>:2003/06/14(土) 00:30

血が、ポタポタと落ちた。
灰色のコンクリの床に、点々と赤い染みを増やしていく。
「………」
それは一瞬の出来事だった
身体に触れる寸でのところで、緒方の手はナイフを捕らえていた。
右の掌で、その刃先を握り締めるようにして――。
茫然とその様子を見ていたアキラだったが、ハッと我に返り、
「緒方さん!」名を呼んだ。
「……オレはこう見えても、多少武術の心得があるんでね」
緒方は言うが早いか、ナイフを持っている方の男の腕を高く持ち上げ、
無防備になった男の腹に強烈な蹴りを入れた。
「ガハッ!」
見事に決まったようだ。
男の身体が前のめりに折れ曲がるよう崩れ落ちる。
緒方が手を離すと同時に、カシャーン、ナイフが床に叩きつけられた。
「……やってくれるじゃねぇか」
遠巻きに見ていた男達の中から声がした。
一瞬にして空気が殺気立ったのが分かった。ピリピリと痛いほどに。
アキラは眉を寄せ、心配そうに緒方を見つめている。
緒方は出血している右手はそのままに、アキラを背に庇うようにして、
「……アキラくん、さっき言った通りの作戦でいこう。オレが合図をしたら走れ。いいな」
声をひそめて指示を出した。
「でも、緒方さんは…」
「そう簡単にやられたりはしないさ」
多勢に無勢のこの状況で、本当に無事でいられるだろうか。
不安でたまらず、アキラは緒方の上着の裾をぎゅっと握る。
すると緒方は怪我をしていないほうの手で、そんなアキラの手に静かに触れた。
「……大丈夫だ」
その温もりにアキラは瞳を伏せる。
子供の頃、よく頭を撫でてくれた手。あの頃と変わらない温かさ。
久しく感じていなかった緒方の優しさに、アキラは胸が切なくなった。
「――ヤっちまえ!」
次の瞬間、男達が一斉に襲い掛かってきた。


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