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13月の船(2)</b><font color=#FF0000>(GWboH.a6)</font><b>:2003/03/02(日) 14:09
part26
>>859

《孤独な陰陽師》

内密の指令は 苦もなく すぐ片付いた。
明は夜明けとともに任務の依頼を受けた貴族に事の結末を筆にしたため
て、すぐ文を出す。
そして自分の館に戻るため、朝日が顔を出すとともに牛車に乗る。
本当は式神の1人である銀夜叉に跨れば宇治から都までは一飛びなのだ
が、出来るだけ普通の人間らしく振舞おうとする明は牛車で帰る方法を
選択した。
異質な者との付き合いや、また その環境に長く身を置くと世間の常識が
分からなくなる事があるためである。

帰り道の途中、朝早くから畑で農民達が息を白く吐きながら歌い、畑仕事
に精を出している。その農民の中の1人の女は背中に幼子をくくりつけな
がら農作業をしていた。女を見ると まだ年若いが、子をあやす姿は母親
の役目を よく理解し、母性が滲み出ている。背中におぶさっている子は、
満ち足りた幸せそうな表情をしている。
明の耳に その女の子守唄が届いた。
明は母を知らない。母どころか父も兄弟の話を聞いた事がない。
物心ついた時には、すでに陰陽道の修行に身を投じていた。
明は知識は並外れ長けて豊かだが、どこか無機質で人間らしさが感じられ
ない雰囲気を醸し出すところがある。それは幼少時の育った土壌が原因で
あるのは明白なのだが、人と相容れなく、交わるのが苦手な明は常に冷淡
な印象を人に与えた。


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