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魔境避難所

329イゴレン</b><font color=#FF0000>(5myocL4k)</font><b>:2002/10/15(火) 05:44
<四>

 さて、渦中のヒカルはというと、壁際に座っている越智と向い合って話し込んでいる
最中だった。
「大体、『○月○日午前十時、「粲々の間」に集合されたし』って紙切れ一枚じゃあ、
 どっちの用事で呼ばれたのかすらわからないよね」
 手にした眼鏡を拭きながら、そうぼやく越智。どうやら新調したばかりらしく、
フレームのデザインが今までとは微妙に違う。
 そんな些細な変化になど越智マニアでもないヒカルが気付くはずもなく、
「オレ、昨日ここで親子丼食ってたら、底の方からメッセージカードが出てきたぜ。
内容はおまえと同じ」
 と言い、指で四角くカードの大きさを示してみせた。
「ボクなんて、いつも入るトイレの壁に貼ってあったんだよ?恥ずかしいったらないよ」
「トイレの壁って…越智、おまえまた負けたの?」
「なっ…負けてないよ、ボクは!」
「だってさ、負けないとトイレには篭んないだろ、フツー」
「たまたま目に付いたんだよ。それに、“また”って言うけど、ボクは今連勝中だぞ!」
「そうだったな、わりーわりー。もしかしたら北斗杯の予選後みたいに、また負け癖が
付いたのかと思って心配しちゃったよ」
 耳に痛いことをさらりと言ってのけるところがヒカルらしい。そんな無神経さも
ヒカルの魅力の一つだが、どんなに好きな相手とはいえ痛みの矛先が自分に向けられた
場合は、愛情も萌えも三割方減少するものなのだ。
 とにかく越智は、ヒカルの言葉に機嫌を損ねているようだった。
「そうむくれるなよ、越智。ちなみにオレは手合いの時、自分の席に着こうとしたら、
座布団の上に貼ってあるのを発見した」
「伊角さん、話に突然割り込んできたのは許すとして、ドサクサまぎれに図々しく進藤の
手を握らないで欲しいんだけど!」
 握られた本人は、この程度のセクハラには慣れっこなのか、のほほんとして動じない。
 越智は越智でヒカルにムッとしていたはずなのに、そんな怒りも忘れて咄嗟に伊角の
手をぴしゃりと叩いていた。
 ヒカルの魔性がそうさせるのか、それともこれがヒカルスキーの底力か。
 叩かれた伊角は、ナゼか嬉しそうに右手を摩っている。
「越智…それでこそイゴイエローだ」
「ワケわかんないね。自己完結しないでくれる?伊角さん」
 越智は「そんなに強く叩いたおぼえはないけど、打ち所が悪かったのかな」と言いながら、
眼鏡を心もち上に戻す仕草をしてみせた。
「あー、違う違う。伊角さんが喜んでるのは、おまえがまだ進藤に興味を持ってるってのが
わかったからだよ。だって、おまえ最近ヘンだもんな」
「和谷の言うとおりよ。さっきだって進藤萌えバナにも参加しないし、本人と喋ってたって
ギラギラ欲望を漲らせてるわけでもないしさぁ。一体どうしちゃったの、越智。社と対局し
てから、まさかホントに負け癖が付いちゃったなんて言わないわよね?」
 伊角の後から湧いて出てきた和谷と奈瀬が口々に勝手な事を言う中、中心人物であるはず
のヒカルは、
「なぁ、奈瀬は今日の集合をどこで知ったんだよ」
 と、明後日の方角から質問をしてきた。
「私は院生研修のときに篠田師範から口頭で──と言いたいところだけど、碁笥蓋にくっつ
いてたわ。遊んでるわね、篠田師範」
「…オレの場合、回覧板に挟んであったぜ、公団ニュースの下あたり。今更だけど篠田師範、
一体どうやってそんな離れワザをやってのけるんだ…しかもあの歳で」

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イブンたん(・∀・)オツカレ!!
また書いてくれよ!

魔境には『コテハンで馴れ合って何が悪い!』っつう名言がある。
ヒカルたんを餌に馴れ合える楽園、それ即ち魔境かと。
ま、年寄りの戯言ですのでスルーよろしく。


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