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魔境避難所

1639泥中の蓮・後日譚─貪婪─ ◆lRIlmLogGo:2015/01/15(木) 14:14:36
一体いつからだ。社からの電話があった日なのか?それは単なる契機に過ぎない。
ヒカルは行き先も告げず、ふらりと単身どこかへ出掛ける事が多かった。帰宅しても、どこへ行った
のか基本的に言わないし、出先での出来事を殆ど話さない。釣堀だけが唯一の例外だった。
一緒に暮らし始めた翌日には、アキラの視界にヒカルの携帯電話が入らなくなっていた。
どこからの着信を隠したいのか、いまだ判らずじまいだ。否、予測はついたが、何故アキラに隠すの
かが不明だった。探してみれば、隠すに値する理由は幾つか見つかった。そのどれもが、アキラにと
ってプラスの感情を齎すものではなかった。
日増しに膨らむ不安に負けてネットで記事の検索をした事が悔やまれたが、数日前の何も知らなかっ
た自分には、もう戻れない。
あれらの記事の内容は事実なのか?
ヒカルに問い質したかった。同時に、訊くのが怖かった。
自分と彼の歩く道が、決定的に分かたれる。彼の口から、それを聞くのが怖くて堪らなかった。
寒空の下、釣堀でアリバイ作りをしてまで東京からの電話を待っていた彼は、何を思ったのだろう。
どこにいても、何をしていても、碁打ちではいられる。
あの日、少年に告げた彼の言葉が重く伸し掛かる。
ヒカルはまた、アキラを突き放そうとしている。オレを見るな、前を向けと。
餞として、ほんの限られた期間だけ体を自由にさせてくれている。後悔が残らぬよう、アキラが飽食
するまで与え続けてくれている。セックスに積極的で奔放になったのは、これで説明がついてしまう。
好きだから素直になってくれたのではないなんて。
「……嫌だ!認めない、おまえは二度と離れるな!ヒカル!」
射精の兆しを感じて、アキラは猛る肉棒を引き抜いた。

彼はたった独りで、味方など誰もいない戦場へ戻らんとしている。鋭い針の山を裸足で歩くが如く。
アキラを置いて。

「離さない……っく、ふぅ……っ、絶対、っ」
何度目か忘れたほど出したために、勢いも粘りもさほど無い。色の薄まった白濁が、無防備に大きく
開かれた口の中とその周辺を汚す。
飲み込みも出来ず、咳き込めば余計に喉を塞がれてヒカルがのたうつ。
「いいよ……いい眺めだ。記録に残しておきたくなるね」
もとよりそのつもりだ。アキラはヘッドボードに置いた自分のセカンドバッグに手を伸ばし、このた
めに購入したデジタルカメラを出した。ビデオカメラは携帯性に劣るし、スチルだけでなく動画も撮
影できるならコンデジで充分だと思ったのだ。
涙と鼻水、汗、精液で汚れた安いダッチワイフのような顔面を中心に、血と粘膜を模したリボンと拘
束テープで飾られた手首、金糸で括り出された乳頭までフレームに収まるように調整したものも何枚
か。勿論、動画もだ。
メモリーカードは最大容量のものを買った。撮りたいものが撮れないでは計画倒れになる。
「これを棋院に送りつけたらどうなるかな。ボクと切れる事がおまえの復帰の条件なんて、言ってら
れなくなること請け合いだ……ハハッ」


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