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プチ避難所

1353CC ◆RA.QypifAg:2014/06/28(土) 17:54:10
盤上の月4〜最終章〜(28)

夕暮れ時に差し掛かる頃。空にはオリオン座が早くも登り、冬の空を彩っている。アキラは高層マンション
へ戻り、1人黄昏れていく空をイスに座って眺めていた。もうすぐ夜が訪れる。アキラのマンションは、一
面夜景が見える好スポットで有名な所だった。マンションの一角には和室がある。
アキラがこのマンションを借りるのを決めたのは、夜景が綺麗なことと和室が一室あったためだ。碁以外に
これといった趣味を持たないアキラだったが、昔から夜景を見ることは好きだった。色とりどりの光彩を放
つ光の一つ一つ。それはそこに人が生きて灯りを灯している証。夜が生きている……そんな印象を思わせる
夜景が好きだった。
今日は以外な人物……ヒカルの恋人であったあかりと話たことでアキラは穏やかな心地にいた。本音を話す
ことの少ないアキラには、今日はとても充実した日だった。自分のために泣いてくれた女性。
ヒカルのことが無ければ違う付き合い方があったかもしれない。でもヒカルという接点がなければ、多分知
り合うことはなかっただろう。人との廻りあわせの不可思議に、今更ながら感慨深くアキラは思う。

暮れていく空が見える和室で、アキラは碁盤前に座り棋譜並べをする。日中の騒がしい雑踏から離れた静か
空間で、1人棋譜を並べるのがこのマンションでのもっとも好きなアキラの過ごし方だった。
そんな時に、マンションの電話が鳴った。
このマンションに移って以来、仕事や碁関係以外はめったに無い電話に不思議に思いながら、アキラは受話
器を取った。


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