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プチ避難所

1345CC ◆RA.QypifAg:2014/06/28(土) 17:48:20
盤上の月4〜最終章〜(20)

「おっ、サンキュ、お母さんから聞いたよ。婚約したんだって、おめでとう」
「ありがとう」
「まあなんだ、上がれよ。誰もいないんだけどさ」
「うん、お邪魔します、良かった今日ヒカルが家にいて」
あかりは靴を抜いて、両靴を揃えてから居間へと向かった。

「う〜んと、あかり何飲む?」
「何でもいいよ」
「じゃあ緑茶な」
「うん」
久しぶりに上がったヒカルの家。あの頃とほとんど変わらないようであかりはどこか安心した。ヒカルと別
れたことはヒカルの家の前を通るだけで悲しかったが、今はこんなに安らかで落ち着いた心境でいられる。
時間は薬とはよく言ったものねとあかりは痛感する。自分の傷ついた気持ちは時間が経過して、別の人を好
きになり癒されていった。でも今日会った鋭くでもどことなく優しい瞳を持つ孤独な人は、この安らかな気
持ちを知らずにいる。あかりの眼には、それが無性に哀しく映る。自分のすることはもしかしたら余計なお
節介かもしれない。でもあかりはどうしてもヒカルに伝えるべきことだと思い、ヒカルの家を訪れた。
ヒカルは台所のテーブルのイスにあかりを座らせ、湯飲みに緑茶をなみなみと注いであかりの前に置いた。
「ありがとう」
「なあ、あかり。この菓子食べていい?」
「もう相変わらずねえヒカルは。食べて良いよ」


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