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プチ避難所

1341CC ◆RA.QypifAg:2014/06/28(土) 17:44:11
盤上の月4〜最終章〜(16)

あかりは密かにアキラを憎んでいた。アキラさえいなければヒカルは自分へと想いの全てをぶつけてくれた
かもしれない。もっと深く繋がりあえたかもしれない。今は別の人を好きになり付き合っているが、そのと
きの記憶はあかりの中で苦い汚点としてけして消えることなく心に息づいてた。
でも報われない想いに真摯に、そして誠実を貫き、この先もその生き方を変えようとしない痛々しいほど不
器用な路を選ぶアキラをこの眼で見た今………あかりの中でアキラへの恨みは消えていた。
その時、自分の頬を伝う生暖かい感触にあかりは気付き、それを右手でぬぐう。涙だった。
けして報われない己の生き方に対して笑みを浮かべるアキラ。そんなアキラを見て、自然とあかりの眼には
涙が零れていた。
「やだっ、私……」
必死に涙を堪えようとするが、次々と涙が溢れては零れる。あかりは急いで自分のバッグからハンカチを取
り出そうとするが、涙で溢れた眼では手元が歪んでしまう。ポトポトとあかりの手に涙が落ちては濡らす。
そんなあかりを不思議そうに眺めていたアキラだったが、自分のハンカチをそっとあかりに差し出した。
あかりはアキラからハンカチを受け取り、涙を止めようと両目に当てた。
周りの席の客がこちらを見ている気配が伝わる。


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