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プチ避難所

1340CC ◆RA.QypifAg:2014/06/28(土) 17:43:00
盤上の月4〜最終章〜(15)

―――そういう愛し方もあるのだ………、でもそれではあまりにもアキラが報われなさ過ぎではないのか。
ついあかりはそう思ってしまう。

「…………………塔矢君は、ずっとこの先もそういうふうに生きていくの?」
手元のミルクティーのカップに視線を落とし、右手で左右に少し揺らしながらあかりは言う。アキラの返答
は無い。ふっとあかりはカップを見る視線をアキラへ移す。アキラとあかりの視線が重なった。優しく柔ら
かいかすかな微笑。アキラはあかりへの返答の代わりとした。アキラの優しく消え入るような笑顔を見て、
あかりは顔がこわばり胸が凍りついた。
―――この人は………この人は……………ずっと辛くて悲しい想いを10年もしてきたのに、それでもけしてそ
の想いを消すことはないのだ………。
この先もずっと……ずっと……それはいったいいつまで……?
なぜそこまで。そこまでにヒカルに執着する理由は何なのか。そのとき、あかりは気付く。
人を好きになるのに理由などないのだと。ただその人が好きだから。それが全て。
かつて自分がヒカルを好きであったように。男とか女だとかの性別なんて関係ない。
アキラにはそれがヒカルであった、だそれだけ。
アキラはこの先もずっとヒカルの幸せを願いながら生きていく。自分の幸せはヒカルとの対局を全てとして。
この先も続くであろうアキラの孤独な姿を想像するだけであかりの心は軋んで悲しみで一杯になり、言葉が
出ない。


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