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プチ避難所

1328CC ◆RA.QypifAg:2014/06/28(土) 17:24:01
盤上の月4〜最終章〜(3)

頭をポリポリかきながら、そうだっけとぼやくヒカルにあかりは深く溜息をついた。ヒカルとあかりはお互
い20歳になっていた。付き合いだして早2年以上経ち、一折のことはすでに済ました仲になっていた。あか
りはヒカルを好きで、ヒカルはあかりを好きだと言う。だがあかりにはヒカルは自分と同じ気持ちを抱いて
いない、同じ気持ちで心や体を重ねてくれていない。そのように感じていた。
なんとかヒカルを自分の方に振り向かせたい。アキラの影なんて自分が忘れさせてみせる。あかりはひたむ
きにヒカルへと尽くすが、いつもヒカルの気持ちは違う方へ向いていて、けして自分へは全てをぶつけてく
れない。あかりにはそれが一番辛かった。あかりがどんなにヒカルを想い、尽くしても、けしてヒカルは癒
されていない。時々空虚のような眼をするヒカルがそれを意味していた。ヒカルはあかりには優しく笑い、
大切に扱ってくれる。でも、ただそれだけ。
心は深く交わしてくれない。深く関わろうとしても立ち入れない。ヒカルは無意識でそれらを遮断していた。
ヒカルなりの自分を深く傷つけないための防御のようなものだったが、それを恋人であるあかりにも同様に
する。そんなヒカルにあかりは疲れていき、ヒカルが23歳の時にあかりからヒカルへ別れを告げた。

ヒカルはあかりから別れを切り出されたとき、引き止めなった。
自分は本気で人を好きになることは出来ない。あかりに対する仕打ちを、ヒカルは自覚していたからだった。
いつもどこか心が虚しく、いつも寂しかった。あかりが側にいてくれることはとても心が休まったが、アキ
ラと過ごしたときと比べれば雲泥の差があった。
アキラは碁でも佐為のことでも、なんでも通じ合え分かり合えた。そして恋愛でも刺激しあう仲だった。
心も身体も一つに解け合えた。あかりとの付き合いが普通のものなのだ。それは分かっている。男と女は心
も体も違う。違うから分かろうとして歩み寄る努力が必要だとも。でも一度、性別の関係ない恋愛を経験し
てしまえば、その時の体験は深く心身に根付き忘れられない。


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