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239</b><font color=#FF0000>(bK2y2NIs)</font><b>:2002/12/11(水) 02:10
(22)丸ごと差し替え
初めて、人の唇の柔らかさを知った。
二日前のあの日、自分はヒカルに話しかけようとした。
つい無視したり、気付かないそぶりをしたりしたが、本当はそんな態度を取りたくなかった。
だが人に対して自分は呆れるほど不器用だった。
アキラはヒカルが終わったころを見計らって対局部屋に行った。結果を聞き、そして碁会所
に誘おうと思っていた。
しかしヒカルの姿はなかった。
そんなに早く終わったのかとアキラが落胆したそのとき、声が聞こえた。
そっと近付いて、それを目にしたアキラは驚愕した。
ヒカルが少年―――和谷といったか―――とキスしていたからだ。
しばらく呆然と見ていたが、正気に返るとどうしようもないほどの怒りが湧き起こってきた。
それをヒカルにぶつけた。そしてヒカルにキスをされたのだ。
冷静になった後でアキラは考えた。あの怒りはどこから発せられたのかと。
ヒカルに言った「こんなところで」というのは少し違う。
自分はたぶんそこが棋院でなくとも激昂しただろう。だが何故そうなのかわからない。
それが囲碁とは別次元のことならば、ヒカルが何をしようと自分にはまったく関係ない。
(そうだ。進藤が男とキスしていたからって、ボクが気にする必要はないんだ)
そう頭ではわかっているのに、心がどうしようもなくざわめいてくる。
和谷の手によって喘がされていたヒカルの表情が脳裏をよぎった。
身体の奥が熱を帯びる。そんな自分が嫌だった。
こんなに自分は混乱しているのに、腹立たしいことにきのう碁会所で会ったヒカルは、少し
体調は良くないようだったが、何事もなかったかのように自分に接してきた。
だからアキラもいつもの態度を崩さないようにした。
しかし口調はどうしてもとげとげしいものとなった。その結果、雰囲気はますます悪くなり
挙句の果てに北斗杯のことでヒカルの気分を害してしまった。
(4ヵ月間、進藤と碁を打てないのか……)
アキラは感情をすべて吐き出そうとするかのような、長いため息を吐いた。
チャイムが鳴り、いっせいにみなは椅子を鳴らして席についた。
すぐその後に担任が入ってくる。この時間はホームルームだ。
「じゃあこの間の続きをしなさい」
机が動き、班の形となった。それぞれが移動する中、アキラは困惑したように担任を見た。


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