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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

95麻生 結弦 ◆GM.MgBPyvE:2020/02/25(火) 21:51:38

「――てめぇ!」

魁人が叫ぶ。同時に生木でも折るような音と、菅さんの呻く声。
また魁人が遠慮なく「殴るか蹴るか」したんでしょう。

「馴れ馴れしくすんじゃねぇ……薄汚ねぇヴァンプ野郎が」
「……随分……だな。わたしはこれでも大臣なんだよ? しかも君の上司だ」
「はっ! んなもんとっくにクビだろ!? ついでに元帥でもねぇ!」

もう一度、さっきと同じ「痛そうな」音。きっと桜子の屋敷での意趣返しだろう。
いくら治癒能力が高いとは言え、痛覚は人並み……
……どうして菅さん、無駄に魁人を刺激したりするんだろう。いちいち反応する魁人が面白いんだろうか。

「……それはどうかな。わたしはまだ認めていない。不当な解任など認められるものか」
「不当なんかじゃねぇ! てめぇはヴァンプ――バケモンじゃねぇか!」
「違うよ、わたしは化け物なんかじゃない」
「あ? てめぇまだ『自分が人間だ』なんてほざいてんのか!?」
「そのとおり。わたしは人間だ」
「フザケんな! てめぇまさか女医の言ったコト真に受けてんじゃねぇだろな?」
「そのまさかさ。君自身の身体が証明してるだろ? 彼女の打ったワクチンのお陰で君は治ったんじゃないのか?」
「それが何でてめぇがバケモンじゃねぇ証拠になんだ? 俺が解んねぇと思って煙に巻いてんじゃねぇぞ?」
「わたしも専門外だが朝香によれば――」
「いい加減にして!」

僕は叫んだ。黙ってたらいつまでもやってそうだったから。
いきなり静まり返った場内。
高い天井に音の余韻が木霊して、場の空気をしばらく震わせた。
そのピッチは……またEだ。とても不安定な……Eの……フラット。

「二人とも、僕の話を聞く気ある? ない? どっち?」

わざと大きなため息をついて、聞いてみる。
息を呑んで、こっちの様子を伺う気配。

「……悪ぃ。続けてくれ。俺ぁしばらく黙ってっからよ」

魁人のしゃべり方があまりに「叱られた子供」みたいで吹き出しそうになる。
君のそういう所が……好きだよ魁人。

立っているのが辛い。
努めて落ち着いた動作で片方の膝を付く。
コルトのグリップをしっかりと両手に握りなおす。
……正直言うと、相当に具合が悪かった。
田中さんに血を吸われてから、ずっと……手も足も冷たくて……まるであの……サーヴァントになりかけてたあの倦怠感――
でも今この時が肝心だ。局長の頼みを、僕は訊いて見せる。
ゆっくりと……呼吸を整える。

「まずは菅伯爵。貴方に5分、差し上げます」


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