[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
79
:
菅 公隆
◆GM.MgBPyvE
:2020/01/19(日) 21:03:50
『ついに……この時が来たね』
麻生の呟きはそのまま、わたしの呟きだった。
柏木がそのすべてをつぎ込んで鍛えに鍛えた、それが彼らだ。
柏木が育てた最高傑作。
ほんとは今が彼らを始末する最高のタイミングの筈なのに、動けるまでわざわざ待つなんて――
やるなら双方、最高のコンディションでって……そういう事だね?
『OK柏木、邪魔はしないよ』
わたしは腕を組む彼とおなじポーズを取った。水は差さないって言う意思表示だ。
一方の如月達と言ったら……まあみっとも無い事この上ない。
仮にも正規のハンターが、身体起こすどころか手足もまともに動かせない始末、最高傑作が聞いて呆れる。
ま、田中さんの呪縛がそれほどのものだったって事でもあるんだろうけど。
その田中さんも、わたしと同じスタンスらしい。さっきの殺気を綺麗さっぱり引っ込めてしまってる。
そして彼に寄りそうドレスの女も、腕を下げて立ったまま。
そういえば――彼女はいったい誰なんだ?
同胞の集会では見ない顔、しかし桜子に良くにた面差しで――
……と、まさにわたしの疑問に答えるような会話が耳に届いた。
『ごめん魁人。僕だ、あの子に……秋桜(コスモス)に装置の止め方を教えたのは僕だ』
『こすもす? 誰だそりゃあ?』――
聞いていてなるほどと思ったよ。秋子の娘なら似ていて当然。
その成長の早さも、彼女が真祖であるなら納得も行く。
おそらく田中さんは、その可能性にかけ、わたしより早く彼女に接触したのだろう。
10年前のあの時も、半ば強引にわたしをあの場所に連れ込んだんだしね。
もしも――もしもの話だけど。
田中さんがわたしの存在に気付かなければどうなっていただろう?
おそらく『伯爵』とは無縁の生活を送っていただろう。
平穏ではないにしろ、一政治家として、ハンター協会の司令塔として、真っ当な人生を歩んでいたに違いない。
柏木ともだ。
只の上司と部下という関係のままで居られた。
……互いに結婚とかしてりしてね。
家族ぐるみでバーベキューしたり、海辺のキャンプで魚釣ったり?
……もしも、の話だ。
実際には有り得ない。
田中さんは佐伯を使いに出し、拉致とも言える手段でわたしを連れて来させた。
いつもその眼を光らせて、次なる伯爵を――真祖を探していたんだ。
それがあの人の役目だから。
あの人は目利きだ。酸いも甘いも知る……まさに海千山千の最長老。
数多の糸を……裏で引いて来たんだろう。汚れ事にも幾度か手を染めたはずだ。
もちろん責めたりはしないよ。すべては同族の繁栄のためだ。
いま思えば、柏木の潜伏にも気づいていて、あの場に名乗り出た彼に、あえて気づかぬ振りをしたのかも知れない。
このわたしの覚醒を促すために。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板