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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

73麻生 結弦 ◆GM.MgBPyvE:2019/12/22(日) 05:34:38

――――ギン――――!!!!!

近くで硬い金属同士がぶつかる音。
同時に僕は伏せていた。僕を庇って一緒に倒れ込んだ魁人が重くのしかかっている。

「無事だな?」

即身体を起こす。耳の中がキンキン言ってる。
魁人はすでに立ち上がって構えてる。
その足元には不格好につぶれた弾頭が二つ。
急ぎそれを回収する。同じ轍は踏まない。
表情を変えず、両腕を下に下げた姿勢のままこっちを見ている局長。

いま何が起こったのか説明すると。
局長の手が霞んで見えた――つまり弾がこちらに向かって放たれた瞬間、魁人が発砲した。
弾に弾をぶつけた訳です。
相手の弾の弾道を正確に見切る眼と、正確な速射が出来て初めて可能な技。
そんなどっかの漫画みたいにって思うかもだけど、魁人なら出来る。
実は地下室で局長の「あれ」を見て以来、延々と、それこそ7年間も練習したんですけどね?
僕が魁人に向けて撃った弾を魁人が弾で撃ち返す、そんな練習。
(すごく危険だけど、でも大丈夫。一応は防弾の範囲を狙うから)
……でも今のは危なかった。
弾同士がぶつかったのは、僕から10cmも離れていない場所。魁人の反応がもう少し遅かったら僕に当たってたんだ。

『司令も律儀だぜ』
『え?』
『てめぇの大腿狙いやがった。ピアニストにゃ要らねぇってこったろ?』
『それはそれで酷いなあ』

なるほど、局長はちゃんと伯爵のいいつけを守ってる。
つまり、「僕は魁人の盾に成り得る」。

「俺ぁあと10発。てめぇは?」
「5発だよ」
「それで何とかするっきゃねぇな」

僕は頷く。
半身になって左の腕を前に伸ばす。背中を合わせる魁人は右腕を尽き出す恰好だ。
僕の銃(ベレッタnano)は照準は正確だけどは小さいなりのリコイル(反動)が大きい。
もちろんその癖は覚えてる。だからわざと照準を左下にずらして着弾点を修正する。
狙いは局長の胸部正中。ヴァンプに取っての唯一の急所。

「GO!!」

魁人の合図でトリガーを引く。魁人もそれに続く。
魁人のパイソンは僕のと同じ9mm弾。ただマグナム弾だから威力とスピードが上。
それを利用した僕らのコンビネーション・プレイ。

届くだろうか?
局長が口の両端をギュッと吊り上げるのが見えた。


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