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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
69
:
麻生 結弦
◆GM.MgBPyvE
:2019/12/01(日) 07:41:32
背中を預け合う僕と魁人。
懐かしいな。あの地下室ではいつもこんな感じでやってたんです。
まだ僕が音大生だった頃。
先生の個人レッスンが長引いて……急いで帰ると門前で魁人が待っていた。
目深にキャップ被って、腰に2つもホルダー下げて。あはは……ハンターじゃなかったら即通報されてるね。
「遅ぇじゃねぇか。またいつもの先生か?」
「うん。なかなか解放してくれなくて」
「ピアノねぇ……。お前に取っちゃあ本業かもだが、こっちの事も忘れんな。免状取りてぇならな」
「そこまで言う? 遅れたの、たった5分だよ?」
「てめぇ……そのたかが5分間、どんだけ俺がヤキモキしたと思ってんだ? ヴァンプの襲撃か、呼び出しかってな」
「ごめん、心配かけたね」
「違ぇよ。俺の時間取られんのがヤなの」
2つ年下の魁人ははっきり言って態度がデカい。仮にも先輩の僕に向かって、いつもこんな口をきく。
何でも、騎手になりたくて上京したらしいんだけど、身長伸びすぎた、なんて綺麗さっぱり諦めたとか。
そんな彼は、高校にも行かないでひたすら訓練に精を出している。
もともと恵まれた身体能力な上、地元でも結構鍛えてたらしくて。今じゃ僕より全然格上。
……やっかんだりはしません。
彼の態度がデカいのは別に威張ってるわけでも何でもなくて、単なる性分だって知ってるし、意外にも情が厚い。
動物、特に大の馬狂いで、実際に1頭飼っていて、歩けばその馬の話しかしない。(あと、昔見てたアニメの話とか?)
普通……もっとこう……女の子の話とかするよね?
でも全然なんだ。前に振ったら、「東京の女は怖ぇ」なんて意味わからない事言ってたし。
玄関脇に地下に抜けるドアがあって、その階段を下りる途中、いつも何かしらの旋律が聴こえていた。
今日はヴァイオリン。父さんの音色です。
「誰の曲だ? やけにもの悲しいじゃねぇか」
「メンデルスゾーンだね。ヴァイオリン協奏曲、ホ短調。気に入った?」
「まさか。これから稽古だってのに、テンション下がっちまうぜ」
「そう? 僕はどんな曲でもイメトレにいいと思うけど。魁人にも聴ける耳があればね」
「ほざけ。俺はてめぇと違って――」
「なに?」
眼の前の光景を見て、僕も口を噤んだ。地下室で待っていた「彼」の様子が普段と違ったから。
いつもは血痕だらけのボロ布(きれ)纏って床に蹲ってる彼が、いかにもヴァンプって感じの上品なタキシード姿だったから。
しかもいつのまに調達したのか、木目調の綺麗なデスクと、揃いのデザインの椅子にきちんと腰かけて、一冊の本に眼を落している。
手足にだけは、いつもと同じ銀の枷が嵌められていたけど。
「今夜はまず理論から始めよう」
パタンと本を閉じて、彼が腰を上げた。
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