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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
68
:
如月 魁人
◆GM.MgBPyvE
:2019/11/30(土) 06:25:34
俺ぁ咄嗟に振り向いた。見失ったときゃあ、後ろに居ると相場が決まってるもんな。
……だが居ねぇ。ついで拓斗の奴も居ねぇ。ありゃ? なんで?
「魁人! うえだ!」
結弦の声に、俺ぁ脊髄反射で床に伏せた。
ゴロリと転げて上を向く。さっき伯爵にヤラれた鳩尾にズシンと響くが、構ってなんか居られねぇ。
視界のど真ん中、手足丸めて宙に浮く黒い影。
今度の今度は引き金引いたぜ。どてっパラから心臓に突き抜ける間隙にな。
よっしゃ! あの体勢じゃ流石の司令も手が出ねぇ! ってな。
だが俺は大甘だった。
司令、俺が撃ち込んだ弾丸を靴の底で弾きやがった。
まるで地面にでも着地するみてぇにトンッ……と、思わずため息つくぐれぇ自然な動作でな。
横っ飛びにフワっと飛んだ司令が、クルリと回って着地する。
なんつーしなやかさ。豹みてぇ。
いやいや! マグナム弾よ!?
普通突き抜けるっしょ!! 踵(かかと)、ダイヤモンドかよ!!
重力加速度で落ちて来た弾頭を、グリップ底でガシッと払って飛び起きる。
さっきとおんなじ、構えもせずに立ってる司令。息ひとつ乱れてねぇ。
マジか……?
あんなのに勝てんの?
俺ぁ頬伝って流れて来た汗をペロッと舐めて舌打ちした。
まただ。またあの……俺に取っちゃやたらと長ぇ膠着状態が始まったのよ。
正直言って苦手だ。長い事、ピクリとも動かねぇで居るってのは簡単じゃねぇ。
頭空っぽにすりゃいいって訳でもねぇ。あーだこーだ作戦練ったり、思わぬ事態の対処をシミュしたり。
そういうしてるうちに腰だめに構えた腕の筋肉が「まだ?」なんて俺を急かして来るわけだ。
そうすると、やたらと自分の心臓がどっかんどっかん言い出してくる。
息詰めすぎてパンパンになった肺が爆発しそうになってくる。
俺、鍛えかた足りねぇのかなあって。
タマ撃ちばっかやってねぇで、茶道とかもやっときゃ良かったんかな。
そんな時に「救い」が来た。横ちょで伯爵と田中が何やらボソボソしゃべる声が耳に入ってきたんだ。
司令にはその中身が聴こえたらしい。片方の耳がぴくッと動いたからな。(すげぇ! そんなとこまで豹みてぇ!)
「柏木、麻生にはなるべく手を出さないでよ?」
「はあ?」
もちろん、「はあ」なんつって聞き返したのは司令じゃなくて俺だ。意味わかんねぇもん。
考えてみろよ。
司令が俺ごときに睨みあってるの、結弦が居るから、だぜ?
ハンターは仲間の命も惜しまねぇ。それ知ってっから、司令は俺らの隙を狙って突っ立ってる。
1人じゃねぇ、2人同時にヤれる隙をな。じゃねぇと、1人ヤってももう1人にヤられっからな。
それを、1人は助けろ、だと。
その注文は「てめぇは死んどけ。後は自分らが何とかする」って言ってんのと同じ事だ。
しかも結弦は曲がりなりにも免状持ちだ。
免状持ちのハンターを殺さずに無力化すんのが、いかに難しいかって、あの伯爵が知らねぇはずもねぇ。
そしたら伯爵、俺の方見てにっこりと笑いやがって言ったのさ。
「あの夜に聴いた桜子との連弾が忘れられないって田中さんが。わたしも麻生の弾くシューベルトが好きだからって事で」
……なんだそれ。理由まで意味わかんねぇ。
だが少なからず納得したぜ。そういや今までも、俺より結弦を優先する場面あったっけな。
司令、どうすっかな。
俺達に取っちゃあ救いの一言。司令に取っちゃあハンデ以外の何もんでもねぇ。ちょい複雑だぜ?
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