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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
65
:
菅 公隆
◆GM.MgBPyvE
:2019/11/26(火) 07:03:48
一度眼を閉じ、その色を黄金に変える。
いま必要なのは泣き顔じゃない。彼らを上回る……伯爵としての威厳だからね。
「駄目だよ田中さん。柏木の親はわたしだ。勝手に始末してもらっちゃ困るよ」
「……伯爵様? お加減が……お戻りに?」
「あはは、あの時も田中さん、それとまったく同じ台詞を言ったよね」
「……は?」
「ほら、半年前、田中さんの庵でさ」
「半年前……。そんな事が、ありましたかな」
「あったさ。わたしが席を外したその間に、柏木とひと悶着あっただろ。縁台の上でさ、怖い顔で柏木と……さ。見た時は驚いたよ」
狼狽気味の田中さんは、視線を彼らに向けたままだ。
なるほど、その視線を逸らせば彼らの呪縛は解ける。
彼は気の使い手。眼力と気と組み合わせれば、あんな精密な操作も可能なのかも知れない。
わたしは田中さんを刺激しないよう……ゆっくりと彼に歩み寄った。
「柏木はわたしの護衛だよ。だから勝手にするなって、あの時も言ったよね」
「されど伯爵様、今こそが、この柏木を始末する絶好の機会ですぞ?」
「そんな事ないよ。柏木はわたしの言う事を何でも聞く。いざ死ねと言えば死ぬさ」
「しかし、こ奴が申すには……伯爵様の御命は――」
「知ってるよ」
「……何ですと」
「この命はじき消える。知ってたさ。この心臓に仕掛けられた弾丸の効果を、このわたしが知らない訳ないじゃないか」
「ですが伯爵様――」
「その伯爵様っての、いい加減やめてくれない? 私はこの国の閣僚だ。その一員として、わたしはやるべき事をする」
「やるべき事とは?」
「法を以て人と我々の共同社会を実現する。わたしはまだ諦めてなんか居ないよ」
「……クソったれが」
今の台詞はもちろん田中さんじゃない。
わたしは眼を細めてハンターの一人――如月を見た。
田中さんも眼をぐっと細めて、そして何か呟きかけて。でもその口はしっかりと閉じられた。
カチン!
撃鉄が戻る音と同時に、フッと張り詰めていた空気が緩む。
弾かれたように柏木から離れたハンター2人が、クタリと床に座り込む。まだ身体の自由は効かないようだ。
柏木がこちらに向き直り、片膝をつく。
「最後の命令だよ、柏木」
柏木は顔を上げない。……まったく……君という男は……
わたしはツカツカと彼に歩み寄り、顎に手をかけ上向かせた。
「如月を殺せ。人と我らの、明るい未来実現のためにね」
「……YES。YES、Master」
立ち上がった柏木が徐に記者の仮面を剥いだ。
……そうさ。それが君の本当の素顔だ。
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