したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

61柏木 宗一郎 ◆GM.MgBPyvE:2019/11/23(土) 17:16:04


――パンッッッ!!!!

胸内に起こった破裂音は、心臓を握りつぶされた音ではない。
私は田中氏が気を差し入れた直後に気を練り、心の臓を内側から固めていた。その気で一息に田中氏の気を押し返したのだ。
肺の諸所が破れる痛み。
しかし我々は肺による呼吸を必要としない。皮膚呼吸で十分。
田中氏が唸る。
もし私の眼を鏡に映せるものならば、彼と同じ朱を帯びていただろう。

出力、及び感覚器の感度、最大。
一足飛びに田中氏の懐に飛び込み、その腹に両掌底を押し当てる。
胴体、手足のすべての伸筋群に力を籠め、その力を放出する。
どんな感じかと問われれば、バレーのボールをレシーブする感覚に近いだろうか。
気を練れぬ者でも鍛錬により発動は可能。中国武術の「発剄」がこれに相当するかも知れない。

――――――ドンッ!!!!

まともなる衝撃を受け、田中氏が背後に飛ぶ。
が流石は熟達。
彼もまた内部より障壁を張っていた。背後に飛んだはおそらくは自らの意思。
田中氏は肩幅より広く足幅を取り、右掌底を前方に尽き出した。
腕周りの空間が歪む。

尋常ならぬ殺気を感じ、上に飛んだ。間髪入れず、彼の手から放たれた圧縮気体の塊――気弾とでも言おうか。
初めて見る現象なれど、いちいち驚いている場合ではない。
狙いはこの足元。つまりは彼の意図に乗った格好だ。
次なる攻撃は当然この軌道上。ならば。

右腕を下方に伸ばす。
体内の気を螺旋に伸ばし、掌に集める想起。
発剄とはまるで違う初めての試み。
しかし上手く行くだろう。砲を撃つイメージ、田中氏に出来て私に出来ぬ事もあるまい。

初めての気弾は予想以上の威力をもって床に当たり、その反動がこの身体の軌道を更なる上方へと変えた。
田中氏が放つ気弾はうまく逸れ、宙にて霧散。
気弾の射程は思った以上に短い。せいぜいが3、いや2間。

着地し、ふと田中氏を見ればふらりと揺らめき壁に手をつく仕草。
急激に気を練った反動か、それとも陽動か。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板