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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

57如月 魁人 ◆GM.MgBPyvE:2019/11/09(土) 07:32:39
鳴り響いてた銃声が唐突に止んだ。
音の余韻がウワーンと耳ん中で木霊してやがる。
俺ぁアタマ振ってその音を追い出した。見りゃあ拓斗も同じことしてら。

「いいか? 奴らの動きは速ぇ。最初は瞬間移動にしか見えねぇ。足音も立てねぇ」
「え……じゃあどうやって狙いをつけるんすか?」
「そうだな。自分を見失わねぇうちは何とかなるかもな」
「……自分、ですか」
「とにかく焦るな。眼、耳、鼻、そして肌の感覚を研ぎ澄ませろ」
「……眼と耳は解りますが、はだ……って?」
「ハンターなりの空気を読めってこった。慣れてくりゃあ離れた相手でも動きが読めるようになるぜ」
「へぇ……すごいっすね」
「俺ぁガキん頃から野山で鍛えてっからな。中学ん時ぁ出くわしたヒグマとか相手にしたっけな。あん時ぁ流石に死ぬかと――」

真面目くさって聞いてた拓斗が、バッと眼ぇ見開いた。俺の武勇団に驚いたんかと思ったら違ったね。

「魁人さんって……道民だったんですか!」
「あ?」
「ヒグマって北海道にしか居ないじゃないっすか!」
「あ? そうなのか?」
「実は俺もなんすよ! 俺も道民っす!」
「ほんとか!? 何処だ?」
「道北っす」
「マジか? 俺もだぞ? 道北の何処だ?」
「豊富町っすよ、魁人さんは?」
「うおお! どんぴしゃで同郷かよ! 俺んチはサロベツで競走馬の牧場よ、爺ちゃん死んで今は細々、だけどな?」
「マジすか!? 俺んとこも牧場っすよ!」
「まさかおま……ウナヤマ……って、あの宇南山牧場か!?」

拓斗がパッと顔輝かして頷いた。
そういや宇南山って名乗られた時にピンと来るべきだったぜ。あの辺りにゃ覆いがこっちじゃ珍しい苗字だしな。
宇南山牧場は俺が勝手にウナ牧と呼ぶほどのメジャーな酪農家だ。
姫走らせるコースはウナ牧の牧草地の近辺でな?
白いラップ(牧草をラップみてぇなシートでびっちり包んだ塊な?)がポンポンっと転がってたっけな。

――あ?
こんな時にハシャいじまってだらしねぇって思うか?
……東京もんにゃあ解んねぇかもな。
俺らに取っちゃあ内地、まして東京なんつったらそらもう異国みてぇなもんでよ。
最初のうちは言葉通じねぇ、夜は夜で明るいわ騒がしいわで寝付けねぇ、現場じゃドサンコっつってバカにするやつは居る。
恐らく奴も同じ苦労してきたはずだ。それが同郷、しかも超ローカルだってんだ。ちったぁ浮ついても許されると思うぜ。

拓斗がギリっと歯ぁ噛んで、ライフルの銃身握りしめた。いまのこの現実、現状って奴を思い出したんだろ。

「もしも、の話だ。カタぁ付いて生きて帰れたそん時ぁ……いっぺん帰って飲もうや。駅裏に真ゾイのうめぇ店があんだよ」
「……はい。楽しみにしてます……」
「……涙ぐむなよ。まるで何かのフラグみてぇじゃねぇか」
「だって俺……生きて帰る自信なんかこれっぽっちも」
「バカ。要は集中だ。余計な事考えるんじゃねぇ。奴らの心臓ぶち抜く事だけ考えな」
「は……はい!」
「その意気だ。とりあえずは援護しな」

俺は壁伝いに煙幕の中に飛び込んだ。間ぁ置かねぇで付いてきた拓斗が息呑む音がしてな。
そうだ。コトはやっぱり終わっちゃ居ねぇ。むしろこれからが本番ってな。


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