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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
56
:
如月 魁人
◆GM.MgBPyvE
:2019/11/04(月) 07:03:49
2本目の柱が倒れる音がした。
ユサユサ来る振動と、濛々と渦巻く埃がハンパねぇ。天井と壁に稲妻みてぇな亀裂が走ってら。
この議事堂本体も無事じゃあ済まねぇかもな。
「そういやあの女医どうなった? 総理は一応無事なんだろな?」
そしたら奴ぁ、気味悪ぃうす笑い顔になってよ?
「無事を祈る必要などない。むしろ消えてもらうと助かる」
なんて不気味なこと言いやがる。
「あ? 女医はともかく、総理が何だっつんだ?」
沢口は俺の肩ひっつかんで、ぐいっと耳元に口を近づけた。
俺の手前に立ってた拓斗が一瞬変な顔をしたが、あ、そうか、なんて納得顔で後退る。
「良く聞け。両者ともに『ハーフ』だ」
「はぁ!?」
ハーフ。
俺達協会の人間が言う「ハーフ」たぁ、普通のそれじゃねぇぜ、人間とヴァンプとのハーフのこった。
文献によりゃあ昔はそのハーフって奴がたんまり居てな?
何かしらの能力に秀で、人に比べてずる賢いだの人様に暴力振るうだの。
しかもヴァンプを匿うっつー理由で見つけ次第処刑したって話だ。
だが俺らぁ、んな記録眉唾物んだと思ってる。
奴らはバケモンだ。
俺らみてぇな血の通った生きもんじゃねぇんだ。んな奴らとの間に子供なんか作れてたまるかってな。
大方、邪魔な人間を始末する根拠にでもしてたんじゃねぇの? 中世の魔女狩りみてぇに。
ってのが協会の見解だったわけなんだが……沢口の野郎、大マジな顔しやがって、さっきより声のトーン落としてよ?
「気を付けろ。まだ総理付きのSPと私、及び柏木局長だけが共有する情報だ」
「待てよ……! ハーフなんて、マジで居んのか……?」
「ああ。あの『田中』は総理の実父、佐井朝香は総理の娘だそうだ」
「何だとぉ!!? 確かなのかよ!?」
つい出しちまった大声に沢口の顔がヒクついが、拓斗以外俺ら気にしてるもんも無ぇからよ。
「3日前に投降した柏木局長から得た情報だ。田中本人から聞いたそうだ」
「田中ぁ? おいおい……その田中が嘘ついてたらどうすんよ?」
「いや、真実だ。その頭で総理と佐井の身辺を洗った際に――」
沢口が何かしら説明しようとし出したんで、俺をそれを手で遮った。
こいつのこった。情報の網かき集めて掴んだ結果なんだろ。それをガセと決めつける資格も権利も俺には無ぇ。
「わかったぜボス。俺もその頭で動く。結弦は見たか?」
「確認出来ていないが、死亡したという情報も入っていない」
「OK。ボスは外で待ってる兵どもの指揮を頼む。俺がやられたそん時ぁ……」
「プランBだな。了解だ」
頷く沢口に俺もニヤリと笑って見せたが……ホントはどうにかナリそうなのを必死で抑え込んでたんだぜ。
だってそうだろ?
んな身近にハーフが二人も。ってこたぁ……世間にゃマジで「わんさか」居るって事だ。
あの文献は嘘なんかついてねぇ。
「出来る」奴ほどヴァンプの血ぃ引いてんじゃね? って疑わなきゃなんねぇって事だ。
ややもすりゃあ……結弦も? つか自分でも気づかねぇだけで、実は俺も……とか?
地面の揺れは続いてる。星だけは満点ですっげぇ綺麗だが、庭木の枯れ枝のざわつきが尋常じゃねぇ。
コルトを2丁、腰だめにして壁に寄る。
あったけぇグリップの感触を確かめながら、俺ぁひとつ息吐いて……拓斗を顎で促した。
グッと頷く拓斗の顔が強張ってやがる。実は全部聞こえてたのかもな。
はあ……ペロッと舐めて色が変わる試験紙でもありゃいんだがな。
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