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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

53麻生 結弦 ◆GM.MgBPyvE:2019/10/27(日) 17:12:21
クロイツ達の弾丸が、いとも容易くヴァンプ達の命を刈り取っていく。
あの兵器のお陰です。
地下で作動させた高周波発生装置が連動し、ついにここ一帯に及んだんです。
覚えてますか?僕が田中さんに噛まれたときに出したあの声。あの音が作動スイッチになってたんですよね。
440ヘルツの音(ラ音)を、とある強さできっちり5秒間。
局長と魁人と僕だけが知ってる作動方法で、作動条件は「幹部」による襲撃が確認された時、だったんですけど。

見てくださいあれ。ヴァンプ達にはよっぽど不快なんでしょう。流石の伯爵もあの通り。
誤算と言えば、この揺れですね。まさか地下の天井が崩れ落ちるなんて。

……危うく下敷きになる所でしたよ。
それがどうして助かったかと言うと、彼女です。あの桜子似の女性が、僕を瓦礫から守ってくれたんです。
驚きました、てっきり彼女は奴らの仲間だと思ってましたし、きつい眼で僕の事睨んでましたし。
そんな僕に彼女が言ったんです。
『また一緒に……カンパネラを弾きましょう?』
透き通るような凛とした声音、そしてふわりと香った懐かしい香り。
で、いきなり思い出したんです。
「君は……秋桜(コスモス)?」
彼女は頷いて、そしてゆっくり頭(かぶり)を振った。
「身体は……そうね。正真正銘あなたの娘。そして心は――」
言いかけた彼女の身体を僕は抱きしめた。
やっぱりだ。君は桜子の生まれ変わりだったんだ。君がそう簡単に滅ぶわけないと思ってた。
成長が早いとは思ってたけど、もうこんなに大人になるなんて!
彼女は何故か悲しそうに笑って、僕をそっと引きはがした。
「結弦も行って。早く」
その指は本館方向を指している。闇の中、ぞろぞろと何者かがうめき声をあげつつ移動しているのが解る。
先導するのは……田中さんでしょう。
彼は気功使い。おそらく周囲に音を遮断する障壁でも張ってるんでしょう。
桜子の手を引こうとして、でもその手を払われた。
「わたくしはここで待ちます。結弦は……結弦の仕事をするのよ」
僕は曖昧に頷いて、必ず迎えに来ると約束して、そしてこの場に来たんだ。
桜子は人間として生まれ変わって、だからもう何も問題なんかない。
ヴァンプはすべて敵だ。撲滅対象だ。味方する者もだ。

「早くここから脱出したまえ! 見なさい!」
「え?」

総理と朝香先生の声がする。駆け寄ってみれば、先生が駄々っ子のように壁にしがみついている。
総理の対応から、彼女は人間の側と判断します。
窓の外は真っ暗で、ただ何かとてつもなく重い物が地面を叩く音。

「相変わらず世話の焼ける人ですね」
何故彼女が留まろうとしているのかが理解出来きない。更に理解できない事に、力一杯ハグされた。
「麻生くんっ!? 生きてたのね!」なんて凄い歓迎ぶり。
そこ……そんなに喜ぶとこでしょうか? しかも相変わらずの凄いボリューム! 何が? って、決まってるでしょ!
でも先生、僕がその感触を楽しむ間もなくパッと離れました。
先生、らしくなく後ろめたそうにモジモジして、視線を少し離れた場所で膝をついている伯爵の方に向けた。
いつの間にかその伯爵を支え、田中さんを見上げている人物が居る。
誰かって……決まってます。あの独特の姿勢の良さと手足の長さ、迫る気配。
柏木局長その人だ。相変わらず変装が上手い。
そして彼らを見つめる田中さんの眼がこれまた尋常じゃない。
まるで親の仇でも見つけた格好です。何があったか知りませんが、同士討ちは万々歳。幹部同士が潰しあってくれるのは助かります。


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