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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
52
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2019/10/27(日) 07:09:52
「麻生くんっ!? 生きてたのね!」
あたし、思わず声の主に抱き付いちゃった!
だってだって……さっきは今生の別れ、みたいな感じで別れたでしょ?
一度手掛けた患者が生きてた時の感動がね?
つい抑えられなかったって言うか、あたし……これでも医者だから……
ごめんなさい! 菅さん! 別にあたし、彼とそういう関係じゃあ……
ってそそくさっと麻生君から離れて、チラッと菅さんの方を見たら、彼、あたしの方なんか見ても居なくて。
でもホッとしてる場合なんかじゃなかった。
崩れた壁やガラスの破片が降りしきる大広間。そこで起こっていたのは一方的な殺戮だった。
さっき苦しがってたヴァンパイア達が、クロイツ達の手で撃ち殺されていく。
抵抗らしい抵抗もせず、次々と壁際へと追い詰められ……
引き絞られる悲鳴。
積み上げらて行く死体の山。
その中で、田中さんだけがただ静かに立っている。
彼の周りだけ、降ってくる瓦礫がドーム状に避けている。
クロイツ達も田中さんを狙わない。
そういえば、リサイタルのあの夜、撃った本人たちがあべこべに怪我してたっけ。
田中さんは暗い眼をして……じっと見つめてる。
蹲ってる菅さんと、その腕を取って支えながら、田中さんを見返している一人の男を。
えぇっとぉ…………誰?
「……い、先生!」
麻生くんの声であたし、我に返った。
彼、くいくいっとあたしの袖を引っ張って。
「先生はあの通路に走って! 地下に逃げて! 総理も、早く!」
頷く総理がSP達に囲まれて参議院側の廊下に走って行って、あたしもそっちに押されて、でも、あたし――
「先生っ!?」
「だめ! あたし、菅さんの傍に居たい! 菅さんから離れたくないっ!!」
「ええっ!?」
麻生くんが左手で銃を構えたまま振り返った。その銃口は菅さんに向けられている。
「先生はどうしても……そっち側なんですね」
彼の眼が哀しそうに光って、ゆっくりと黒い銃をあたしに向けて。
「さよなら、先生」
言うなり銃口がパンッ! と音を立てて。
あたしは胸に感じた衝撃よりも何よりも、菅さんともう会えないって事の方がよっぽど重要で、
もう霞んで良く見えない、たぶん菅さんが居る、その方向に無我夢中で手を伸ばした。
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