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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

22菅 公隆 ◆GM.MgBPyvE:2019/02/19(火) 06:06:26
記者団から驚嘆の籠るどよめきの声。顔を見合わせる隊員達。
ギリっと唇を噛んだ沢口が口を開く。

「待って下さい。仮に貴方が人間であればなおさら拘束は解けません。刑法第198条の殺人罪、又は204条の傷害罪が成立します」

さっきと同じどよめきが今度は沢口に向けられる。
まあ……そうだね。そこに気付かなかったら沢口じゃない。
思い出すなあ……。
大学のゼミでさ、沢口が被告の代理人、わたしが原告側の代理人役で演習したことがあったんだけど。
……いやいや、夜が更けても終わらなくてさ。呆れかえった教授にストップかけられた事思いだすよ。
言われたっけ。君達は政治家志望を考え直した方が良くないかって。検事や弁護士に向いてるんじゃないかってね。
実を言えばその気になりかけたんだ。でもそんなわたしを引きとめたのが沢口なのさ。どっちが先に出世するか勝負だ、なんてね。

彼の言うとおり。人であればそれなりの義務も責任も負わなきゃならない。人を殺せば殺人罪、傷つければ障害罪だ。
けどさ……ヴァンパイアって生き物は……哀しいかな、人間を殺さずに生きていくことは出来ないんだよ?
病院で見かけるパック詰めの保存食じゃダメなのさ。
ほんと、あれで事が済むんだったらね? 話の持って行き方が大分違ったんだけどね?

「そこなんですよ。だからこそ、我々を人間だと認めた上での新しい法案――ヴァンパイアの人権擁護法が必要なんです」
「それがさきほど仰った、新法案というわけですか?」
「そうです。ヴァンパイアの行動を制限すると同時に、栄養の摂取手段……つまり新鮮な血液を得る行為を合法とする」
「御冗談を。貴方方の吸血行為を法的に認めろと?」
「ご存知ですか? 世の中には進んで自分の喉を差し出す人間も少なからず居ることを」

記者団の……それぞれの眉間にしわが寄る。
……そうさ。ここからさ。非常にデリケートな交渉が必要になるのはね。


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