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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

17佐井 浅香 ◆GM.MgBPyvE:2019/01/27(日) 07:40:41
「信じるか信じないかは……貴方次第だがね?」

またまたそう言って、パチンと上手にウインクして見せた総理の顔は、どう見ても……60代。
……ホントかしら。でもわざわざ私に嘘をつく理由なんかないんじゃない?
だから少し突っ込んでみたの。お父さんってどんな人なの? って。
そしたら総理、遠い眼をして言ったわ。

「父はまるでそうとは見えない……人としても大成を極めた方でね」
「大成とはまた大きく出たわね。いったいどんな?」
「やはり『美』に対する執着だろうか。鳥肌が立つほどの執念だ。いつも問われたものだよ、『真なる美とは何か』をね」
「……なんだか、とっても深〜いお話ねぇ……」
「彼は1000の古壺を並べ、そこからたったひとつの『本物』を見分ける眼を持っている。無論、それは壺に限らない。
 才能ある人材を探し、集め、派遣会社を作ったのだから。……昔から世の動きに敏い方だったらしい」
「…………」

適当に相槌を打つあたしの顔から、彼は一時も眼を離さない。
そしてその『お父さん』の話はどんどん……あたしにも思い当たる内容になってきて……どんどん……繋がって来て……
だって……お父さんが神戸支部の代表だったなんて言うんだもの!

「総理、そのお父さんって……もしかして500年近く生きてるとか?」

総理はあたしの顔を見たまま答えない。

「もしかして……田中、とか名乗ってない? 田中……与四郎って」

総理はやっぱり答えない。でもそれが答えよね。どうしよう、あたし、眼の前がぼやけちゃって良く見えない。

「菅さんに聞いたの。田中さんはあたしの祖父だって。お祖母ちゃんは言ってたわ。あたしのお父さんとお母さんは死んだって。
でもそれ……嘘だった? ほんとはお父さんは生きていて……そしていつかこうして――」

そっと抱きしめられた。
やっと解った。さっき懐かしいって、逢った事あるかもって思ったのは、その背中が田中さんに良く似ていたからだって。


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