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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
159
:
菅 公隆
◆GM.MgBPyvE
:2020/10/31(土) 06:57:43
チャキ! っと銃を構える音。発砲に至る再度のモーション。
――カチン!
またもや不発。
3度目だが、この感覚に慣れるという事は無く、むしろ緊張度は増している。
浅い呼吸しか出来ない。顎を伝い、ポタリと垂れる脂汗。
「かように難しく考えずとも宜しい」
……って言われても。
……ん。
朝香が……何か言ってる。……なんだろう?
ア? タ? オ、リ……?
え? なに? ア? いや、タ? ……オ…………
「わかった! 誕生日! 彼女の……朝香の誕生日だ!」
一部の人間にはヤケクソに聞こえたかも知れない。だが確信ありだ。
読唇を習ったことがあるわけではないが、あの動き、間違いない。
そして、少なくとも自分自身のそれではない。
なら必然的に彼女の、となる。
きっと田中さんが朝香に聞いたんだ。誕生日の贈り物は何がいいかと。
朝香は答える。
このわたしの命が欲しいと。
何しろわたしは……佐伯の命を奪った(奪うよう命じた)……何より憎む仇、らしいからね。
流石の田中さんも呆気に取られた顔してる。
やはり……そうか。
いや……あの朝香の顔……え? ちがう?
……ごめん。いやその……その眼……怖すぎるからやめてくれるかな?
田中氏が顎をしゃくる。2度。
2度……引き金を引けと?
仕方ない。不正解に加え、彼女の誕生日を覚えていないという失態に対するペナルティか。
――カチン!
もう一度、カチン!
……次こそはと覚悟を決めて身を硬くするも、またもや不発。魁人と麻生、どちらもだ。
ここまでくると、読めて来た。6発目が当たり、そういう事なんだろう。
ギリギリまでわたしの反応を愉しむ気なのさ。
無論操作は簡単だ。2人は折り紙付きのハンター、「プロ」だからね。
シリンダーを回す塩梅ぐらい、心得てるって言うわけだ。
……いいさ。
このバイタル(心音や呼吸、血圧など)は官邸内に届いてる筈だからね。
異状の可能性に気付いた沢口たちが、色々手配してくれている。
ヴァンパイアの弱点も把握済み。例えあの装置が作動しなくても、このホールごと水に沈めることだって出来るんだ。
そう思い、顔を上げたその時だ。
見てしまったのさ。
ついさっきまでわたしと魁人が座っていた客席。
その後席に沢口が座っているのをね。その隣には宇南山もいる。
沢口の秘書官である日比谷麗子もね。彼女は旧姓使用者だけど、今や魁人の細君だ。
あろうことか、5歳になる息子まで連れている。腕に包帯を巻いたその子は……宗や秋桜同様眠っているのか。
しかしそうか。
そうだったんだ。
国会の会期中に、こうもすんなり事が運ぶ(フラッと出歩くとか)と思ってたけど……そうか。沢口も噛んでたのか。
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