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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

127菅 公隆 ◆GM.MgBPyvE:2020/07/02(木) 06:24:22
一呼吸の間を置いて、場は大変な騒ぎになった。
当然だよね。そんな言い方されて気持ちがいい筈が無い。

彼等はもともと独立した生き物だ。
それがある日、より大きな生き物の体内に侵入(或いは飲み込まれ)、そのまま居座る事になった。
片やATPの大量供給、片や住まいの提供という、利害の一致を見出したからだ。ただ、引っかかるのは――

わたしを睨みつけていた桜子が、彼等へとその眼を向ける。
一瞬で静まり返る場内。
……ほらね? こういう所が気に入らないのさ。

「彼等を悪く言うことは許しませんわ。恩恵を被っているのはわたくしの方ですもの」
「そうかい? 確かに、彼等がせっせと拵(こしら)えるATPがなければ、君は生命維持すら不可能だ。けどね?」
「……けど?」
「所詮は一方的な主従の関係さ。彼等の増殖を制限しているのは君なんだろ?」

彼等ミトコンドリアは、持っていたDNAのほとんどを核に取り上げられてしまっている。自分自身を構成する設計図を含めてね。
だから、自分自身の繁殖行為――分裂のタイミングすら、自分で決める事が出来ない。
自分の意志で繁殖出来ない。
こんなの……生き物って言えるかい?

「それがいけない事かしら? 場所によっては、多すぎても少なすぎてもダメな時がある。勝手に増えられても困るのよ」
「責める気はないよ。彼等はそれで満足してるみたいだしね」
「つまり……こういう事? 共存したいけど、あくまで対等でありたいと?」
「うん。実はそうなんだ」 

とたん、甲高い笑い声を上げる桜子。
それに合わせるようにして身をくねらせる麻生達。

「そんなに笑わなくてもいいだろ」
「だって、こんなに可笑しい事はありませんもの!」
「可笑しい?」
「貴方はご自分の立場を解っていませんわ! そんな風に持ち掛けられて、いったい誰が了承すると言うの!?」
「承諾するさ。わたしが手ぶらでここに来たと思うかい?」

その場にいる誰もが息を呑む気配。
彼女すらその華の顔(かんばせ)を強張らせ、唇を震わせている。

「……随分な……自信ね」
「まあね。聞けば、君はむしろ是非にと頭を下げるだろうね!」
「なら是非にも教えていただきたいわ。いったいどんな……手土産を用意してらっしゃるの?」
「アイディアさ」

トントン、と人差し指で自分の額を小突いて見せる。

「……アイディア?」
「そう。この中に、このまま行けば滅んでしまう人類を救うための案が沢山詰まってる」
「人類が……滅ぶですって!? 」


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