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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

122佐井 朝香 ◆GM.MgBPyvE:2020/06/14(日) 06:59:27

「ようこそ朝香(ラミア)、わたしの城へ!」

組んでた腕を横に広げて、あたしを見下ろす菅さん。
いつもの真っ白なアンサンブルを素敵に着こなして。
……ちょっと。自分だけズルくない?
あたしはこんな風に手足も無い、お世辞にも綺麗なんて言えない恰好なのに!

「そんな事ないさ。君は君だろ? いつもみたいに呼んでよ、『ハムくん』って」
「……うそ」
「嘘?」
「レイビーズ。それが貴方の本当の名前」
「へぇ……知ってたんだ」

眼を閉じた彼。
その背後には、細い手を繋ぎ合う無数のニューロンやアストログリア。
あたし、ぞっとした。
彼等の「核」が紅かったから。
丸くて紅い核を持つ彼等が無数の「眼」に見えたから。
その眼(核)の周りをうねうね蠢く……どこか苦しげに這いずるあれは……ミトコンドリア? 
眼が離せない。
身体も動かない。
ここは星空なんかじゃない。深くて暗い……沼の底。
息苦しい。あたし、息なんてする必要ないのに?
ずるり、と這い出たあれは――
来たわね、ミクログリア。
ずるずると近づく貪食細胞(ミクログリア)は、やっぱり赤い眼をしてて。
その体内を、ミトコンドリアが明滅しながら泳いでるのが見えて。
逃げられないあたしにピタリと触れる細い触手。

「手を出すな。彼女のコードを読んだだろ?」

ビクリとその手を引っ込めるそれ。
いつの間にか、あたしの背後に「彼」が立ってて。その手がこの肩を優しく抱き寄せた。

身体が……溶けて無くなる。そんな感覚。
あたしは「彼」とひとつになる。
……当然よね?
あたしと彼は、もともと同じものだもの。

あたしの名はlamia
彼の名はRabies

でも同じもの。
そう遠くもない昔――およそ1,500年の時を経て、あたし達はそれぞれに進化した。


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