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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
120
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2020/06/07(日) 07:23:09
何あれ! もしかして好中球とバクテリアとの闘い!?
頭では知ってたけど、こんな間近で見る事が出来るなんて!
イヤイヤしながら遠ざかるバクテリアに、ゆっくりと形を変えつつ覆いかぶさる好中球。
飲み込まれて、暴れていたバクテリアが徐々にバラバラにされていく。
好中球の方も只では済まない。動きを止め……自らも崩壊を始める。バクテリアの毒にやられて死んじゃった?
積み重なっていく彼等の死体。たしかそれをお掃除するのが……来たわ! 来た来た!
思わず身がすくむ。大食細胞――マクロファージがぞくぞくと集まって来たから。
マクロファージはその二つ名の通り、何でも食べちゃう悪食cell。
それこそ死んだ仲間のcellからあたしみたいな小っちゃいウイルスまで、対象は広い。獰猛で動きも早い。
ほらね? すっごい処理能力! まさに免疫界の掃除屋(スイーパー)ね!?
瞬く間にあたし達も取り囲まれちゃった。
庇うようにしてじっと立つ柏木さん(樹状cell)に睨みを効かせる山のような体格のcell達。
柏木さんも体格じゃ負けてないけど……でもたった一人じゃ……どうしようも無いんじゃない?
「仕方がありません。これに乗って行って下さい」
――え? って思って彼を見上げると、その眼が破綻した血管の隙間を見てる。
なるほど、乗るって……血流に乗れってことね? 血の流れは速い。全身を巡るのに1分もかからないもの。
「あたし達だけじゃ心細いわ。貴方も一緒に来てくれる?」
ダメもとで頼んでみたら、またまた柏木さん、素敵な声でフフッと笑って。
あたし達を抱えたまま、トンネルの中に意外な素早さで飛び込んだ。飛び掛かろうと動いたマクロファージが踏鞴を踏む。
さっすが! やろうと思えばやれるのね!
流れに乗るあたし達。一緒に流れる巨大な……赤い細胞の群れ。
……音楽が聴こえる。とっても綺麗な……ピアノの旋律。優しくて、でもとってももの悲しい。
まるで今まで歩んできた人生をひとつひとつ噛みしめてる……そんな曲。……どこから? 麻生君が……弾いてたり?
「シューベルトの即興曲。作品90の3」
訪ねてもいない質問に答えてくれた柏木さん。あたしが考えてること、どうして解るのかしら?
「あの御方が愛した作曲家です。いつも聴いておられました。今思えば……あの時も」
あたしから眼を逸らしたまま、遠くを見る柏木さん。
あたし、音楽には詳しくないから、シューベルトとか、作品ナンバーとか言われてもピンと来なくて。
でもさっきから口にしてる「あの御方」って……菅さんの事よね?
ハッとした顔であたしを見下ろした柏木さん。
「司令。そいつら……?」
突然横合いから声を掛けられた。
見れば……いつの間に居たのかしら! もじゃもじゃっと短めの触手を生やした白い球が柏木さんの腕にくっついてる。
大きさは赤血球よりちょっとだけ大きい。つまりは柏木さんよりも一回り小さい。
電顕写真で良く眼にする恰好。Tリンパくんね?
うふふ……なんか可笑しい。柏木さんの事、「司令」だって。態度もまんま、魁人じゃない?
「あの御方が『寛容』された方々だ。我々はこれより『聖域』に向かう」
「マジすか!? 俺も一緒にいいすか!?」
「……君は……あの現場に行き給え。ヘルパーが足りてない」
言われてしぶしぶ手を離す魁人。
あたし、吹き出しちゃった。その素直な反応も、いかにも魁人って感じだったから。
でも魁人がヘルパー(ヘルパーT)だなんて、意外。どっちかって言うと、攻撃系のキラーTってイメージだもの。
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