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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

110佐井 朝香 ◆GM.MgBPyvE:2020/05/05(火) 03:46:03
「じゃあ……待ってりゃ生き返んの?」

魁人の声がイラついてる。そりゃあ焦れるわよね。あたしの答え、さっきからどっちつかず。

「すぐには無理かも。必要な血液が残ってないから」

やっぱり曖昧な答えしか返せないあたし。
……仕方ないじゃない。
血を全部抜き取られた人間なら見た事あるけど、ヴァンパイアのそれは初めてだもの。
でも魁人は彼なりに納得したみたい。
グッと口元引き締めて、あたしと菅さんに向けてた銃の撃鉄に指をかける。

「とどのつまり、死んじゃいねぇがしばらく再起不能。そういう事だな?」

ガチリと撃鉄が起きる音。
あたしは咄嗟に眼を閉じる。
前にも同じシチュエーションがあって、あの時魁人は躊躇なく撃った。だから今度も彼が容赦することはない。
そう解ってて、でも頭のどこかで「まだ行ける」って思ってた。大丈夫だって。
今までもそうだったから、今度だって…………ほら……来た。

あたしはそっと眼を開けた。
魁人が怪訝に眉を寄せて、振動を始めたスマホを見てる。
黒い画面に浮かぶ白い文字は……日比谷麗子。

「出てくんね?」

魁人がこっちに向かって顎をしゃくって。
「え?」って顔したあたしを見た魁人が銃をこっちに向けたまま。

「んな時に麗子さんが無駄な連絡寄越すわけ無ぇ。無視して後で怒られんのもヤだからな」

なんて言って。
もちろんその通りにしたわ! あたし、もしかして神様か守護霊さんに守られてるのかも!
……な……なによその眼。
医者にだって、ロマンは必要よ?


電話に出たのがあたしだった事に、麗子はあまり驚かなかった。
彼女が言うには、とにかく写真だけは一杯撮ったから見て欲しいって。
DNAの解析結果も、出したはいいけど自分には何がなんだかさっぱりだって。

「了解。すぐ確認するわね?」

何度か画面をタップして画像を出して、データ化した数値を読んで――あたしの中ですべてが繋がった。

「お疲れ麗子。もうそっちでやれる事は無いわ。検体……消えちゃったんでしょ?」

「ええ」、と一言だけで肯定した麗子が通話を切った。それ以上は何も聞かずにね。
このタイミングで検体である肉片その他が消えるのは当然。本体が滅べば肉体は消滅する。
彼女もたぶん、解ってた。柏木さんが……死んじゃったんだって。でも感傷に浸ってる時間なんか無い。

「魁人! 銃を仕舞ってこっちに来て! 菅さんを運ぶの!」
「……は?」
「急いで! じゃないと手遅れになるわ!」


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