したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【バンパイアを殲滅せよ】資料庫

104如月 魁人 ◆GM.MgBPyvE:2020/03/26(木) 17:34:55
立つ鳥跡を濁さず……ってね。司令らしいぜ。

さっきまで司令が居た床は、もとの白いピカピカ石だ。うっすらの滲みすらねぇ。
ま、司令に限らずヴァンプってのはそういうもんか。髪の毛一本も残んねぇのが奴らだもんな。
しかも服まで消えちまうってのが毎度納得行かねぇが、深く考えても仕方ねぇ。そういう仕様なんだろ。
……って良く見りゃ……スマホだけ消えねぇで残ってら。
ついでに横にコロッと転がってるありゃ何だ?
形だけ見りゃ弾薬そっくり。9mmパラベラムっぽいが……銀じゃねぇの。長い事雨風に晒されたみてぇに黒いの。
あれも司令の持ちモンんか?

俺ぁ仰向けに寝たまんまの伯爵に銃向けながら、ちょこっとだけ前に出た。
とたんに来たぜ、両手首にビシッ! っとな。
咄嗟にグリップ握りしめたぜ。見りゃ腕組んだ田中がこっちにガン飛ばしてやがる。お得意の「気」をぶっ放したに違ぇねぇ。
流石に一歩下がったね。したら大先生も速攻「気」を引っ込めやがった。もしかしてこの辺が射程か?
アブねぇ……さっきのアレ――遠隔操作なんつー反則技ぁ……二度と喰らうの御免だぜ?

俺がもう一歩下がったその時だ。さっきまで俺が立ってた辺りで、カチン、と音がしたのよ。
見りゃガラスだ。割れたステンドグラスが上から降って来たんだ。
俺ぁ注意を上に向けたぜ。もちろん眼は田中と伯爵から離さねぇままでな。
――違ぇねぇ。上に「居る」ぜ。
……3名……。息詰めて待機してら。6階分の高さがあるが、狙撃手(スナイパー)なら何て事ねぇ距離だ。
そうか拓斗の奴、逃げたんじゃねぇ、外に知らせに行った訳だ。

俺ぁ意識を田中に戻した。相変わらず自信たっぷりの貫禄だが……奴の視線が一瞬だけ上に泳いだのが見えたぜ。
なるほど、奴もあの伏兵の存在に気付いてやがる。
しかしそれ以上の感情は読めねぇ。緊張とか、焦りとかそういう感情がな。大事な大将の一大事だってのによ?
どういう訳だ?
伯爵の野郎、一向に起きる気配がねぇじゃんよ。
息もしてねぇ、司令にあけられた胸の穴も塞がらねぇ。明らかに「大事」じゃんよ。

さすがに田中と睨めっこしてんのに飽きた俺ぁ……突っついてみる事にした。
俺ぁこの場を預かった指揮官だ。仕切り直す筈の相手がどうなったのかも知らねぇでコトは進められねぇ。

「ちょい教えてくんね?」
「なにかしら」

俺ぁ田中に聞いたつもりだったんだが、反応したのは女医の方だ。
意外だったぜ?
さっきまで魂抜けちまった人形みてぇに座り込んでた先生が、しっかりした眼つきでこっちを見たんだ。
あんたも謎っちゃ謎だぜ。なんできっちり生きてっかな……
ま、答えてくれるんなら誰でもいっか。

「そいつ、生きてんの? 死んでんの?」

したら女医、スッと眼ぇ細めてたと思ったら、伯爵のYシャツのボタン、パパパパッと外しやがった。しかも片手で。
舌を巻いたね。
弾道見切る俺の眼でもやっと追えるスピードでだぜ? どんだけ脱がせの達人よ?

「脈は無い。つまり心臓は止まってる。生きてるとは言い難いわね」
「ふーん? じゃあ死んでんの?」
「違うわ。心臓は……無傷だもの」
「じゃあ……待ってりゃ生き返んの?」
「すぐには無理かも。必要な血液が残ってないから」
「とどのつまり、死んじゃいねぇがしばらく再起不能。そういう事だな?」

俺ぁ親指で撃鉄を起こした。狙いは伯爵と女医だ。
約束の5分はとっくに過ぎたしな。

女医が眼を閉じ、田中が組んでた腕をほどいた、まさにその瞬間、
ブーンと鳴り出したのさ。司令の黒いスマホがな。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板