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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
102
:
佐井 朝香
◆GM.MgBPyvE
:2020/03/11(水) 12:24:18
長い夢から覚めたとき、あたしは暗がりの中に居た。
石の床……そうだった。ここは……議事堂。あたし、麻生君に撃たれたんだっけ。
あたし、生きてる。
総理も……眠ってるだけみたい。呼吸も安定してる。
さっきの弾、模擬弾かなにかだったのかしら?
うーんと思いっきり伸びをして、もう一度横になって目を閉じる。
……なによ。いいじゃない。今すっごくいいとこだったんだから。続き続き!
素敵だったわぁ……柏木さんの神父服。紋付羽織の田中さんも。 新郎の菅さんなんかもう最高……!
指輪を嵌めて、いざ誓いのキスって時に、柏木さんたら、待ったなんてかけちゃって。
オルガンの鍵盤を指さして、どうか直して下さいって頼むのよ。あたしにしか出来ないからって。
見れば白と黒の鍵盤の配列が滅茶苦茶。
これがやってみると簡単で、意外と楽しいの。こう……カチッと鞘に納まった感じが?
鍵盤はどんどん伸びて、ぐるりと上に曲がって螺旋の階段になってて……
やっと登り切ったら菅さんが待ってて、やった! って思った時に目が覚めたのよ? 続きが見たくてとうぜんでしょ?
でも誰かと誰かが話す声が聴こえて、バッチリ眼が覚めちゃった。
「駄目だ……桜子……やめるんだ……」
「いいのよ結弦。わたくしはこんな時の為に、この世界に戻って来たんですもの」
――え! 麻生くんに……桜子さん? うそ! 桜子さんったら生きてたの!?
立ち上がってみると、暗がりの中に、パッと花が咲いたような白いドレスが見えた。手前に座ってる人影も、たぶんだけど麻生くん。
あたし、嬉しくて駆け寄ったわ!
「あら、桜子さんに二又(ふたまた)君ったら、まだイチャイチャしちゃって!!」
あたしなりの「おめでとう」だった。
でも手前に居たのは麻生くんじゃなくて、麻生くんを抱えた菅さんだった。
振り向いた彼がびっくりした顔であたしを見て、あたしの名前を叫んだ。クエスチョン付きでね?
どうも彼、あたしがこうして立ってるのが信じられないみたいなの。
このあたしの心臓が止まってた、なんてしどろもどろに言うのよ。
いつもは冷静な彼がすっごく慌てちゃって、よっぽどあたしの事が心配だったって事よね?
「アハっ! ハムくんったら、日本語へんっ!」
な〜んて揶揄(からか)ったらから怒られちゃった。
いっけない! ついみんなの前でハムくんなんて!
でも提案した菅さんにも責任あるわよね〜みたいな事言ったら、ポカンとされちゃった。
そういえばそれ……夢の中の話だった? やだ! 起きがけだから、夢と現実がごっちゃになっちゃったのね?
まあ……もう言っちゃった事だし? うん! これからはハムくんで通しちゃう!
勝手に決意表明を固めたあたしを、菅さんはやっぱり不思議な顔して見て、首を傾げて。まだ納得できないって顔してる。
「そんな事よりきみは――」
言いかけたその言葉をあたしは遮った。後ろ後ろって!
だって……菅さんの後ろで、ぬっと立ち上がった人影が、明らかに人間でもヴァンパイアでも無かったんだもの!
そうね、例えて言えば……案山子かしら。
木の骨組みで作った案山子が、手足をギクシャクさせながら自分で立った感じ?
こいつ……何?
振り向いた菅さんもビクッとして固まって……見上げたままで「そいつ」に声をかけた。
「柏木?」
あたし、その名前で初めて、立ってるそれが柏木さんだって気付いたの。
そう思ってみて見れば……確かにそう。
キリっとした眉、オールバックに撫でつけた髪、額にハラリとかかる前髪が数本、
いつもの黒スーツじゃないけど、ラフなジャケットをスタイリッシュに着こなした、完璧なプロポーション。
でも違う。
柏木さんの姿と形をしてるけど、ぜったいに違う。あれは「生き物」じゃない!
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