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【バンパイアを殲滅せよ】資料庫
100
:
菅 公隆
◆GM.MgBPyvE
:2020/03/09(月) 17:50:37
「朝香!?」
さすがに開いた口が塞がらない。
彼女の胸には確かに銃で撃たれた痕がある。赤い血も相当滲んでる。なのにピンと背筋を伸ばして立っている。
なぜだ。防弾着は身に付けていなかった。
まさか――いや、違う。匂いも気配もヴァンパイアのそれじゃない。
「どうしてさ! さっきは確かに……息も心臓も――つまり確実に絶対死んでたよね?」
「アハっ! ハムくんったら、日本語へんっ!」
「あは! じゃないよ! てかハムってなにさ!」
「え〜〜? ハムくんが言ったんでしょ? 公隆の公の字を縦読みしたらいいって!」
「――え?」
ハムスターがどうとか、まるで新婚状態だったあのシチュエーションは……夢、だろ?
わたし自身の夢。いや、夢という表現もおかしい……幻覚? 白昼夢?
とにかく、白い螺旋の階段も、巨大な黒い蜘蛛も、この胸の内の何かの表れだと……そう……思ってたのが、違うのか?
彼女自身の夢を共有していたとでも?
「そんな事よりきみは――」
「ハムくん、後ろ後ろ!!」
そう言えばと振り向いた。
ぎょっとしたよ、柏木が静かに立っていたんだ。
俯き加減の、その両の目はしっかりと閉じられていたけど、見た目はいつもの柏木だ。
両腕をゆらりと下げた自然な立ち姿と、隙を感じさせない佇まいがね。
異様なのはその「気配」だ。まるでポツンと立ってる植木みたいなのさ。
「柏木?」
呼びかけてみたが反応はない。
彼の背後では、麻生を抱え後退る桜子。
その肩越しに……壁を背を預ける田中さん。
左横で撃鉄を起こす音。
両手の銃を構える如月を視界の隅に捉える。
……が、撃ちはしまい。「5分後」に備えているだけだ。そういう取り決めだ。
「柏木! わたしだ! 聞こえるか!?」
腹に溜めた声を張り上げてみると、今度こそ反応があった。閉じた瞼が開いたのさ。
総毛だったよ。
それは少なくとも「柏木」じゃなかった。
血そのものをただ丸く固めたような何かがその眼窩に納まっていた。
瞳孔も何もない、何物をも映さない赤い玉。それがキョロリと動いて、確かにわたしを見下ろしたんだ。
――悪鬼。
そうとしか言いようのない眼だった。自我も魂も無い屍。それでいて肉体は最強の戦士とくればこれ以上手強い相手もない。
だが悪鬼の自我を呼び覚ます、その方法は意外に簡単だったりする。
生前に執着、或いは愛着のあった「何か」を差し出せばいいんだ。
柏木のそれと言えば決まってる。肌身離さず持ち歩いていたあのロザリオだ。
あの十字架のメダイと、それに繋がれた銀の玉。その玉ひとつひとつを手繰りつつ、祈りを捧げる姿を見かけたものだ。
ほんと、運がいいよ。
偶然にも拾っておいたロザリオが役に立つなんてさ。
だが懐を探り、愕然とした。
何処にもないのさ。上と下のポケットにもない。どこにもない。
そういえばと思い返す。さっき如月にヘッドロック食らったときに、チャリンって……
って事は……仕舞ったつもりになってただけで、仕舞ってなかった?
なんか足元に似たような鎖が落ちてるなーとか……まさか……あれがそれ? ええーー!!?
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