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【東京ブリーチャーズ】那須野探偵事務所【避難所】

260 ◆pNqNUIlvYE:2017/08/19(土) 00:05:23
「はぁ!?だ、誰が阿呆だ!?麒麟児だ神童だと謳われた私がか!?」

バカと言われて憤懣やるかたない様子を見せる子供。その子供に対し、僧侶はしゃがんで視線を合わせる。

「……いいか、坊主。その箱を拙僧が持ったら、まず間違いなく腰が壊れる。そうすると、山寺まで還れねぇ。
 よしんば辿り着けたとしても、腰を痛めた拙僧は料理も出来んからお前さんは煮ても焼いてもねぇ草しか食えん」
「うっ……」

その光景が想像できたのか、言葉に詰まった子供を見つつ僧侶は続ける

「だが、お前さんがその箱を背負えば、拙僧は無事に山寺まで帰れる。
 そんで、その箱の中身を使って美味い鍋料理を作ってやれる。お前さんも腹いっぱいになるまで飯が食える……ここまで言や、どっちが良いかは判るな?」

黙り込んで何も言えなくなってしまった子供に対し、僧侶はどっこらせと掛け声を上げながら腰を上げ、再度口を開く。

「坊主。山犬の群れだって、生まれた体の強さで振り分けられる役割は決まってんだ。脅す奴、守る奴、狩る奴って具合にな」

腰を叩きながら背筋を伸ばす僧侶の姿に子供は笠の中で目を細め、僧侶はその傘を2、3度優しく叩く。

「それは、人間も同じなんだよ。どんだけみっともなくても、自分以外の何かにはなれねぇんだ。お前さんも、拙僧もな……まあ、それでも――――」

続けようとした僧侶の言葉は、吹き抜ける風に乗って響いてきた山犬の遠吠えによってかき消され、子供の耳には届かなかった
子供は暫しの間沈黙していたが、やがて歩を早め、僧侶の横に並んで再び歩き出した。
その後も二人はたわいない会話を続け、夕日の沈むその先へと消えて行った。


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