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【東京ブリーチャーズ】那須野探偵事務所【避難所】

228ノエル@本編未公開シーン(非公式) ◆4fQkd8JTfc:2017/07/01(土) 23:09:16
「……。そうか、そういうことか」

ノエルは暫しの沈黙の後、納得したように頷いた。

「確かに……望まれて生まれたわけじゃないかもしれない。
でも母上は……僕ならお前を手懐けて、次代の雪の女王として雪妖界を変えてくれるかもしれないと、希望を託したんだ。
それに君を持って生まれなかったら、この世にこんなにも大きな愛がある事を知る事ができなかった。
きっと誰にも理解されない、だけど僕だけは知っている――
《漂白》されたのは……僕の方だった。《妖壊》深雪は数百年の時を超えて漂白された。
君は……僕はもう厄災の魔物じゃない!」

クリスは、みゆきが力を制御できる器になるまで深雪を引き受けるという使命を見事に果たしたのであった。
ノエルは因縁の戦いの果てに姉を見送ることをもって、ついに器を完成させたのだ。
結果的に厄災の力を抑えきれずに暴走したとはいえ、それでもクリスに力を預けた判断は正しかったと言えよう。
もしも本来の器であるみゆきがあのまま力の言いなりになっていたとすれば、クリスが齎したよりも遥かに甚大な被害を及ぼしていただろう。
それとも、まさか、まさか――最初から全てを承知で厄災の力を引き受けたというのか。
誰からも感謝されず、それどころか極悪人と謗られ最後は朽ち果てることを分かっていながら、その身を捧げたというのか。
一族の業を一身に背負って死んでいったというのか。何という気高い――《漂白者》なのだろう。
もちろん全ては憶測だ、今となっては確かめようは無い。
ノエルの力強い宣言を受けた深雪は、さめざめと泣いていた。

「お前が妬ましい……そんなに愛されて。我だって、生きたかった、愛されたかった!」

ここでノエルは、ほぼ確信に近いレベルに至った推測を口にする。

「君って、今までに間引かれてきた雪ん娘達だよね……?」

《妖壊》と化した者を雪ん娘のうちに間引くのは救済――女王はそう言っていた。確かに嘘ではないだろう。
しかし、自我が無いから、消される事に絶望が無いなんてことはなかった。
たとえその時本人は認識しなくても、その無念の欠片は確実に蓄積していったのだ。
ノエルは深雪をそっと抱きしめた。

「ねたむ必要なんてある? 君は僕なのに。
やっと生きるチャンスを得たんだ。折角願いが叶ったんだから恨んで憎んで生きるなんて勿体ない!
孤独な戦いの日々はもう終わりだ。僕には仲間がいる。一緒に行こう、僕に守るための力を貸して! 
確かに君の言う通り、今の世界が完璧だとは思わない……でも、誰かを傷付けなくたって変えていくことはできるはずだ」

「器の分際で我に意見するとはいい度胸だ……勘違いするな。隙を見せればいつでも乗っ取ってやる……!」

言葉ではそう言っているものの、もう深雪に反抗の気配はない。
半透明になった深雪は、ノエルに重なるように一つになった。

「……もう君を厄災の魔物にはさせない。いつか完全にノエライズしてやる」

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