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【東京ブリーチャーズ】那須野探偵事務所【避難所】
227
:
ノエル@本編未公開シーン(非公式)
◆4fQkd8JTfc
:2017/07/01(土) 23:07:36
夢の中でノエルは、乃恵瑠と同じ顔をした女と、鏡合わせのように向かい合っていた。
透き通るような白い肌に、腰まで届く銀の髪。
しかし、同じ顔のはずなのに、そのアイスブルーの瞳に宿るのは――この世の物ではない冷酷さ。
その女に、ノエルが詰め寄る。
「勝手に乗っ取るとはどういうことだ!」
「我に身を委ねよ。まずは女王を抹殺し、古のあるべき世の姿を取り戻すのだ。
人と共に生きるなどそなたには所詮叶わぬ夢――希望を持てば、絶望が深くなるだけだ」
「お前だな? 昔の僕を暴走させたのも、お姉ちゃんを孤独な戦いにいざなったのも……」
「勘が良いな、流石は我が器。いかにも。力を振るえれば理由なんて何でも良い。
何故なら、我は全てを埋め尽くしあらゆる生命の息の根を止める深い雪の概念そのもの。
深雪――とでも名乗ろうか。クリスには仮の宿りにしてはよく働いてもらった。
あやつはそなたが我を制御できる器になるまでという条件で我を引き受けることを承諾した。
しかしどうだ、幼いみゆきの姿をとって少しそそのかしてやれば一発だったわ、哀れなり愚かなり!」
「それはどうも、これからは僕の下で働いてもらう。覚悟しとけ」
「ふははははッ! 器の分際で我を制御できると思っておるとは……笑止千万!
知らぬなら教えてやろう、女王が犯した過ちを。
そなたは元より望まれて生まれた後継者などではない。
一族が背負う業の権化、厄災の化身、人に仇成す事を宿命付けられた呪われた魔物だ」
「なんだって……!?」
「その昔、今は雪女と呼ばれる妖怪は、神々の末席に名を連ねていた。
雪女だけではない、全ての精霊系妖怪がそうだった。
人に仇成すことが無かったわけではない、それすらも含めて畏れ敬い恩恵に感謝する包容力が人の側にあったのだ。
いつしか人の意に沿わぬものは討伐・制圧する対象となっていき、多くの精霊が神の地位から転落し、妖怪と呼ばれるようになった。
そんな中、人間社会に紛れ人と馴れ合うことで生き残りを計ろうとする者が現れる。
その者達にとっては、旧来からの本来の生き方を貫こうとする者達の存在は不都合だ。
そこで奴らは《妖壊》という概念を作り上げた。
あいつらは自分達とは違う、だから怖がらないでください、攻撃しないでください、とな。
しかし思われたようになるのが妖怪というものだ。
《妖壊》とレッテルを貼られた者達は、それを受けて更に苛烈な本物の化け物となっていった。
必然的に、人間社会に阿って生きようとする者と、本来の在り方を貫こうとして《妖壊》と化した者の争いが始まる――
同郷の同族同士の間ですらも。
それを良しとしなかった雪の女王は、人間界との拘わりを最小限として閉鎖社会を作り上げることによって対立の発生を防ぐという手段に出た。
そもそも関わらなければ、馴れ合う事もなければ危害を加えることも起こらない。
何故有史以来――そう、現女王が即位した頃以来、雪女に強力な個体が発生しなかったか分かるか?
女王が、強力な力の片鱗を見せた者は、雪ん娘のうちに《妖壊》であるとして間引いてきたからだ。
自分に刃向い雪妖界の秩序を壊しかねない危険因子であるとしてな。こうして長きに渡って表面上の安寧が続いた。
しかし起こるべき変化を無理に抑え込んだ反動は必ず後から返ってくる。それも、元より大きくなってな。
蓄積された歪みは、ついにとてつもない魔物を生み出すに至った。――それが我でありお前だ。
もう分かっただろう? 我が消滅させられなかったのは単にそれが不可能だったから。
お前は我を制御するための器となることを期待して生かされただけに過ぎぬ! 決して愛されてなどいないのだよ!」
思い返してみれば、クリスが全身で表現していたのは雪の女王への激しい憎悪。
《妖壊》を倒し無辜の民を守る集団にノエルを引き込んだ橘音達――人間に阿って生きる妖怪たちへの憤怒。
そして、そんな《妖壊》としての彼女とは相容れぬ、みゆきの力を預けられる前と、ノエルが力を取り戻してから最期に見せた、穏やかな笑顔。
きっとやっぱりあれこそが本当のクリスで。
厄災の力に翻弄されながらも、みゆきへの愛情だけは決して忘れずに貫いたのだとしたら、全ての辻褄が合う。
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