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【TRPG】鋼の巨人と絡繰の龍【オリジナル】

537『Саня』 ◆.GMANbuR.A:2015/11/01(日) 03:36:15
人道や道徳と言うものを解さない国は、必ず存在する。
国の発展を至上目的とするのなら、そんなものは不要だからだ。
だからそういう国は時代を問わず、そして東西も問わずに、存在するのだ。

ロヴィエト合衆国、並びにその前身であるロヴィアは、まさしく「道徳を解さない国」だった。
元々、複数の狩猟民族が同化、つまり吸収合併を繰り返して成立した国だ。
それ故か彼らは「強者が弱者を虐げる」という事に抵抗がなかった。

ロヴィエトは貴族制度、奴隷制度、帝制を経て大国に成る為の土台を築いた。
近代化革命に際してそれらは廃止されたが、あくまで時代に合わせて形を変えただけだった。
統治する者の意識までが、遺伝子に刻まれた気質までもが変わった訳ではない。

農民に重税を課し、酷使する事で工業化に必要な人材と軍隊を養い、ロヴィエトは更に拡大していった。
夥しい数の、農民の餓死者を生み出しながら。

やがて時は進み、武神と機龍が戦場に席巻する時代が来た。
これはロヴィエトにとっては非常に好ましくない事だった。
今までロヴィエトは他国との戦争を、数的優位による殲滅戦によって勝利してきたからだ。
縦深戦術。大量の火器、兵器、人員を用いて敵を圧倒するのが、ロヴィエトの基本戦術だった。

だが武神や機龍に戦闘において、その戦術は成立しない。
「用意出来る兵器の数」と「使い潰しても問題ない人員の数」に、あまりにも差が開き過ぎるからだ。
ロヴィエトは強制労働によって豊富な資源の確保していたが、それにも限度がある。

それに何より巨大兵器、とりわけ武神による戦闘は「個人の技量」により、機体の戦闘力が激しく上下する。
ただの農民を乗せた武神を何十体と揃えた所で、本物の『武』神には叶わない。
数的優位を武器に、兵士の育成に重点を置いてこなかったロヴィエトにとって、それは致命的だった。

『……起きろ』

しかし、ロヴィエトは今日でも大国の座を保っていた。
世界を巻き込む大戦の中で、広い国土と豊富な資源を守り抜いていた。

『時間だ。起きろ、アレクサンドロ・メイソン。電撃を与えて強制的に覚醒させてもいいんだぞ』

どのようにして、ロヴィエトは新世代の兵器戦に通用する戦力を確保したのか。
簡単な事だ。古来から幾度と無く繰り返してきた「国を繁栄させる方法」を、為したのだ。
また少しだけ、形を変えて。

「……よく眠れなかったんだよ。こうも毎日拷問と尋問の繰り返しじゃあな」

『十分な休息は与えている。我々は君を殺したい訳ではない』

「だったらもう少し寝かせてくれ……冗談だ。とっくに目は覚めてる」

『……よし。では……合一を開始する』


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