したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【大正冒険奇譚TRPGその6】

98◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:53:40
>「あ、えーまあ、それで……ゲフンゲフン、褒美の方は日本国へ私の華族承認を勧める礼状でも書いていただければ、うぇひへへ」

延々と垂れ流されるなんとも愚昧な戯言を、清王はにこやかに微笑んだまま聞いていた。
頼光が一頻り喋り終えると何度か頷いて――それから深く溜息を吐いた。
そして唐突に王座から立ち上がり、冒険者達――頼光の傍へと歩み寄る。

「どうやら君は……自分の身の程と言うものが分かっていないようだ」

静かな呟き――穏やかな響きは微かにも残っていない。
金行を帯びた鋭い眼光が、頼光を見下ろしている。

が、不意に、王の口元が緩んだ。
それから彼は頼光の肩に腕を回す。
さり気なく他の冒険者達との距離が開くように、引き寄せていた。

「……君は華族だなんて小さな器に収まるべき人間じゃない。
 日本という国でさえも……君の器には小さ過ぎるくらいだ」

目と目をまっすぐに合わせて、王は真剣な口調でそう告げた。

「……いいかい。確かに日本は清よりも優れた国だ。……今はまだ、ね。
 だが……日本は小さいよ。今は良くても、土地と資源に劣る日本は、いずれ世界について行けなくなる。
 ……いや、そうじゃないな。もっと率直に言おうか」

「ボクは君を、とても高く評価している。君が欲しいんだ。清の為に働いてもらいたいと思っている。
 その為なら……地位も、富も、君が望むがままの物を用意してもいい」

無論――清王の言葉は嘘に塗れている。
唯一、君が欲しいという事だけは本心だが――それも当然、頼光の才や武勲故ではない。
頼光は過去に一度、転生術の媒体となっている。
不老不死とは少し異なるが、研究対象として確保しておいて損はない。

「……ま、考えといてよ。色よい返事を期待してるからさ」

頼光の肩を軽く二三度叩いてから、清王は玉座に戻った。
国使同然の頼光を強引に確保して日本の心証を損ねる事は出来ない。
が、もし彼が自分から清に来る事を望んだのなら話は別だ。
無論、嘆願中に行方不明に――と言った形での拉致も出来るが、何にせよ本人の同意があって損はない。
彼の人格を考えれば、望ましい結果は十分期待出来る。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板