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【大正冒険奇譚TRPGその6】

97倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho ::2013/09/02(月) 22:53:12
日露戦争――ポーツマス条約締結の数年後、
露・独・仏・英・米・日は、小国勃興、群雄割拠状態の支那大陸の騒乱に干渉しない内約を交した。
列強との内約の手前、表立って清国に協力出来ぬ日本は、あくまで民営の組織を通した民間人の派遣という形で、
腕前の確かな冒険者を清国に送り込んだのだろう。

冬宇子は、再び清王に視線を戻して言った。

「まァ、そのお陰で、口封じに始末されちまう……なんて心配は無用って訳だ。」

呪災は、清国の大陸統一を推進する為に、意図的に起こされたもの。
そして、日本政府はそれを承知していた。
日本が統一後の修交、協力を見据えて、冒険者を差遣していたのならば、清王の冒険者達への扱いが、
そのまま、この国の信用を量る為の指標となる。大使相当の価値を持つ人間に、危害は加えられない筈だ。

色素の薄い王の瞳を見据え、冬宇子は、意地の悪い薄笑いを浮かべて見せる。

「しかし、日本への借りは高くつくだろうねえ。
 満州の租借権…いや、割譲……北方を丸ごと剥ぎ取られちまうかもしれないよ。
 そんなこたァ、ただの『駒』が、口出しする必要も無いってかい?
 国同士の駆け引きは、賢明な名君の腕次第ってことかねぇ。」

皮肉は、一種の意趣返し。
日本の軍部が満州を狙ってるという噂が、清王の耳に入っていない筈が無い。
いざ清が大陸を統一し、国体が安定した後は、日本にとって、隣の大国は脅威に変じる。
露西亜と清の接近を牽制するためにも、国境の満州を押さえるべきだという論説が、度々新聞を飾っていた。

「話は変わるがね、あんたも承知の通り、冒険者ってなァ官人じゃないんだ。
 仕事を請けるかどうかは、本人の意思次第。
 請けた仕事を途中で放り出したとて、報酬がフイになるだけで罰則なんかありゃしない。
 要するに、仕事をほっ放って、逃げちまってもいいってことさ。
 もし、私らが、この仕事を断ったら―――国王陛下…あんた…どうするつもりだい?」

試すような口調。
けれど言葉とは裏腹に、冬宇子は、呪災絡みの仕事を降りるつもりなど、毛頭無かった。
事情も知らされず、二つの国の狭間で手駒のように利用されていたことは、耐え難いほどに腹立しかったが、
だからこそ、未消化のまま帰国することなど考えられない。
呪災の全容を詳らかにして、『納得』しなければ、収まりが付かないのだった。
第一、全てを知らねば、この馬鹿げた災害を引き起こした連中を、嘲笑ってやることすら出来ないではないか。

「さてと、その、『仕事』とやらについて聞こうか。
 そりゃ、無論、不死王の遺跡の攻略ってんだろうが、
 あんたが呪災の原因を知っているかどうかで、仕事の危険と難易度は大きく変わる。
 ……陛下、呪災の発生を画策していたのは、あんただが、
 具体的に、誰が、どうやって、この呪災を発生させたのか――どこまで正確に把握しているのさ?
 話してもらおうか。仕事を請けるかどうかは、それからだ。」

呪災の淵源に向かえば、マリー達にジャンを嗾けた正体不明の『日本人の女』と、相間見える機会が必ず訪れる。
そんな確信めいたものが冬宇子にはあった。
――『冒険者が不死の法を見つけ出すのを阻止すれば、自分達が親父や兄貴を生き返らせてやる』――
女はジャンに、そう伝えたという。
日本と清の密約まで含めて、冒険者がこの国に差し向けられた事情を知っていなければ、出来ない発言だ。
彼女…いや、彼女を含む一味も、おそらく、不死の法を狙っている。
一味が、王を出し抜き、先んじて呪法を完成させることを目的に動いているとしたら、
不死王の遺跡で、互いが接触する可能性は極めて高い。


【清王に質問1:日本政府の手前、冒険者を殺すとか出来ないよね。もし、仕事断ったら私達をどうする気?】
【ちょっとゴネてみせたけど、仕事請ける気満々。】
【清王に質問2:王様は呪災の発生原因をどれくらい把握しているの?】


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