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【大正冒険奇譚TRPGその6】
94
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:49:46
ごくりと生唾を飲み込んだときには清王はまた柔和な顔に戻り、兵士たちはいつの間にか消えていた。
だが、確かにいるのだ。
いるはずなのに見えない、という事がここまで恐ろしい事だと頼光は初めて知る事になる。。
そのあとに続く清王の言葉に、自分が日本の代表として見られている事。
そして危害を加えることはない、という旨があり頼光は本来の目的を思い出し、すっかり気圧されていた自分に気が付いた。
あかねに続いて鳥居が不死になる目的を、必要性を王に問う。
呪いによってだが不死性を得ている鳥居にとって、不死への渇望や感覚は違うのだろう。
その感覚の違いの為か、王の目の色が抽象的でなく変わった。
それはそうだ。
渇望した不死を目の前の子どもが「あ、それ持ってるけどそんないいものじゃないよ」などと言われたのだから。
じっと鳥居を見極めるかのように見つめ、感想を漏らした。
その後自分たちへの仕事を取り消すと言い出したのだ。
取り消す、不要、となると役に立たない→褒美もない、となる。
頼光の思考はいたって単純だった。
そんな頼光を余所に、清王は不死の必要性を話す。
国を治めていく為に、列強から、帝国主義の荒波から中国大陸を守るために、と。
そして日本はパートナーとして選ばれた、と。
そう、大陸の新たなる覇者清は日本をパートナーと選び、日本はその代表として自分たちを遣わしたのだ。
となればこのまま引き下がるわけにはいかなかった。
「いやいやいやいや、成程成程。流石は清王様!
申し遅れました、ワタクシめは日本でも武勇に優れ、高貴な家督を持ちながらもそれを捨て己の武勲をもって華族となる事を目指す者。
名を武者小路頼光と申します」
もちろん何が成程なのかなんてわかっていないし、家督もない三男坊で親に勘当されただけであるがここぞとばかりに都合よく並べ立てる。
胸を張って清王に向かい自己紹介を済ますと、多分に芝居がかったしぐさで鳥居の頭を押さえ下げさせる。
「いやー小娘や糞ガキ……あ、いや無知な子供が無礼を働き申し訳ない。
特にこっちは不老不死って言っても見た目と同じように中身も子供のままで成長しないので私もこまっておるのですよ、わっはっは!」
傍若無人で礼儀知らず。
言う言葉は大きいだけで薄っぺらく、もちろん実力も伴っていない。
しかもフーに騙され怒り心頭であったはずの頼光。
真の黒幕と明らかにされた清王の前にもかかわらず、怒ることなくむしろ不恰好ながらも礼儀を尽くしている。
意外にも思えるかもしれないが、これは頼光にとっては当たり前の態度であった。
頼光の目的は華族になって栄耀栄華を極める事。
それすなわち、権威に縋っているのだ。
頼光の傍若無人さは無頼のものではなく、身分の上下関係における差別意識にあるのだから。
即ち、清王>日本の華族(頼光)>清の廷臣(フー)>日本の庶民(仲間たち)という序列が出来上がっているのだ。
であるからして、フーに殴りかかろうとしたが清王にはへつらうのは純然たる階級差に起因しているのだった。
「しかし清王様も人が悪い。
そういう事であれば最初に行っておいてもらえればこの武者小路頼光、存分にこの武勲を振るいましたのに。
訳も判らぬ状況で奮戦してこのように着物もボロボロになってしまいましたがね、何のこともありません。
まあ、連れの連中もそれなりに活躍しましたが、ね。」
仕事を取り消されたのを何とか取り戻そうと考え巡らせながら喋っていたのだが、もちろんうまく考え付くわけもない。
徐々に話があさっての方向に向かっていることに気づきながらも修正することもままならなかった。
「あーそれでですな、日清友好のためにいつでも尽力しますぞ。
ただまあ、こちらについてから呪災のなか戦いづめで、歓待の宴と寝床をいただければ英気を養いより活躍できますな。
あ、もちろんわたしくめは全然平気なのですが、この連中には過酷な道中でしたので!」
あくまで自分のメンツを保ちつつ、連れを気遣う優しさも見せつつ、清王の役に立つという事も見せつつ。
いろいろ詰め込んだので結局何が言いたいかわかりにくい印象を与えてしまったかもしれない、
だがそれとは裏腹に、馬鹿だけに扱いやすそうだ、という印象を持たせるだろう。
更に
「あ、えーまあ、それで……ゲフンゲフン、褒美の方は日本国へ私の華族承認を勧める礼状でも書いていただければ、うぇひへへ」
小さく付け加えたこの言葉がその印象を不動のものにするかもしれなかった。
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