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【大正冒険奇譚TRPGその6】

93武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw:2013/09/02(月) 22:49:26
「な、な、なにい!?王様にあえるのか!?
おおおお!あ、いやおめーこんな格好でどうすんだよ。
謁見の格好じゃねえ!!
あーいやいや、武勲の男武者小路頼光としてはこのままの方が如何にも激戦してきたって感じで好印象か!?」
途端に目に光が戻り、先ほどまでの消耗しきった表情が嘘のように生き生きとしだす。
戦いの連続でもはや着物がボロ布かでいえばボロ布という評価に軍配が上がる姿。
いや、それだけならまだ着替えればいいが、綺麗に反り取られたような河童頭に樹木のようになってしまった右腕。
こんな状態で王に会うというのは頼光の面子が許さない。
が、王に会えるチャンスを見送る事などできはしない!
結局のところ、様々な打算を働かせこのままの状態で王宮へとそして清王との謁見に臨むことにしたのだった。

王宮へ向かう途中、鳥居が駆け寄ってきて上目づかいで話しかけてきた。
その態度にどことなく違和感を覚える。
怪しげなサーカス団を率いて数百年を生きている、それでいて中身は子供でどことなく人を小馬鹿にしたよう態度、それが頼光の知る鳥居なのだ。
もちろん頼光自身が小馬鹿にされるに足る存在で、自然な反応でしかないのだが……

「糞ガキが大人を気遣ってんじゃねーよ。
おめーは元に戻っただけだろ。
暴走だか何だかしなくても俺は華族になるんだから、サーカスなんて続けねえつーの!」
鳥居が吸血鬼に戻ったことは感覚的にわかっていた。
それとは裏腹に今の鳥居は力なく不安に押し潰されそうになっているただの子供のように見えるのだ。
だからと言って頼光に慰める言葉などボキャブラリーとしてあるはずもなく、ただいつもと変わらぬこれまで幾度となくサーカス団内で繰り返された返事を返すのだった。

鳥居に言い放った後、顔はそっぽを向きその視線はブルーへと向けられる。
「おい毛唐、おめー大丈夫か?
西洋人だから判ってなさそうだけどな、東洋には東洋の礼儀ってもんがあるんだ。
粗相したら俺の出世の目が潰れるんだからな、礼儀作法は俺を手本にするようにちゃんと見てろよ?」
照れ隠しに使われたブルーにはいい迷惑であるし、ブルーもお前が言うな状態であろう。
しかし頼光は王に会えるという事ですっかり舞い上がり本気で手本になる気満々であった。


大廊下を抜け謁見の間で清王からの歓迎の言葉が送られた。
戦乱を勝ち抜いた大陸の新たなる覇者。
清王は大柄で豪奢ないでたち、ではあったが、言葉は気さく、悪く言えば軽い。
そして何より、雰囲気が余りにも柔和であった。
地獄の閻魔大王のような姿を想像していた頼光は少々肩すかしな気分であったが、先にあかねがそれを言葉にしてしまった。
「ごら!小娘が無礼なこと言うんじゃねえ!」
片膝をつきながら、自分も同じことを思っていながらも小声であかねを叱りつけた。

>「あ、でもお客様にはそんな事関係ないからね。
> 誠心誠意おもてなしするつもりでいるから心配しないでね。
> ……もっとも」
そのあとの清王のこの言葉を聞き頼光の顔が綻んだ。
が、清王は生還屋に水を向ける。

水を向けられた生還屋は大凡王に対する口のきき方ではない、むしろ敵に詰め寄るかのような言葉。
あかねすら懸念し声をあげるが、清王は全く気にせず話を続けさせるのだ。
生還屋は順を追って全ての黒幕が王である事を突き付けていく。
突き付けられている王はまるで生徒のテストの採点をしているかのような雰囲気だ。
かなりわかりやすく説明されているのではあるが、頼光の頭では早々についていけなくなっていた。
だが、それでも清王の拍手と上機嫌な言葉が生還屋の推論が正しいという事を告げていた。

が、清王の上機嫌な顔もあかねの一言によってそれが薄皮一枚である事を露呈した。
笑顔が消えた途端、あかねの、いやあかねだけではない。
全員の周囲に刃と黒衣の兵士が現れたのだ。
言葉を発する事すらできぬほどそれはあまりにも急でそして確実なる殺意。
こうなって頼光は理解した。
今までどことなく「うさんくさい」とあかねと同様に思っていたが、今自分の目にしているのは紛れもなく乱世を勝ち抜いた清王。
そしておそらくは、居並ぶ刃の倍以上が自分たちと王都の間に潜んでいるのであろうことを。


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