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【大正冒険奇譚TRPGその6】
92
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:48:51
「気持ちは分かるがぁ!!!」
マリーにタックルされ、倒れたところで瞬く間に腕を決めて押さえつけられてしまった。
が、組み伏せられても口は止まらない。
「ごらああ!あいつは俺様を利用して挙句に殺そうとしたんだぞ!
お前らだって同じようなもんだろうが!
止めるんじゃねえ!!ぶち殺さなきゃ収まりがつかねえ!!」
火を吐く勢いで罵る頼光。
冬宇子がフーに平手で打つのを見ても喝采はない。
自分がそれが出来ぬことへの苛立ちの方が勝るのだ。
「ごら〜冬宇子!何平手打ちなんかしてやがる!
匕首持ってんだろ!いつもの癇癪はどうした!!」
むしろ頼光にその匕首が飛んできそうなことを口走るのだ。
マリーが言う通り、この場の誰もがそれをわかっていてあえてフーに手出ししないのであるが、残念頼光にはそこまで回る頭はないようだった。
だがそれも徐々に収まっていった。
なにも諦めたわけではない。
罵声をやめ、組み伏せるマリーを跳ねのけようともぞもぞと動いているのだ。
> 私らの側は七人……これだけの数を向こうに回しては、流石の宮廷道士様とて、そう簡単に抵抗できまい?」
特に冬宇子がフーを脅す為に言ったセリフには耳ざとく反応し
「おい、出番みてーじゃねえか。俺を押さえている場合じゃねえんじゃねーのか?」
などと言ってみるが、冬宇子の意図をちゃんと理解しているマリーにそんな言葉が通じるはずもなく、つく隙すらもない。
半ば人外と化した頼光は、単純な膂力や素早さでいえばマリーを遥かに凌駕しているはずだ。
にも拘らず全く身動きが取れないのは、関節を決め、重心移動を制御されてしまっているからである。
それを悟ったのはフーの話が殆ど終わった頃だったので肝心な事は情報はさっぱり入っていない。
もっとも、ちゃんと話を聞いていたとしても頼光の理解力でフーの話がどれほど理解できたかは大きな疑問符が付くところだ。
「……はぁ〜〜、白けた。もう、いい。暴れねえから離してくれよ。
しかし、おめー暗殺者ってのは本当だったんだな」
大きなため息をつき、大人しくなり拘束を解かれた頼光はマリーをまじまじと見る。
先ほどの殺気でも十分すぎるほど判っていた事なのだが、やはり身をもってその技量を知ると違った思いがある。
「なんかもうどうでもよくなったわ……」
とフーへの怒りはいったん落ち着いた、というわけでもない。
フーの王への忠誠や幼馴染の話などほとんど耳に入っていなかったし、聞いていてもどうも思わなかったであろう。
どんな事情があろうとも自分たちを殺そうとした事は事実なのだから。
諸々も事情が入り組みすぎて理解できないし、それ以上に言葉通りどうでもよくなったのだ。
もともと熱しやすく空きやすい性質ではあったが、人の持つ【執着】が薄れてきているのであろうか?
それは判断しかねるが、もっと大きな要因は単純に疲れて思考が鈍化しているのだ。
頼光の意志を離れて霊樹が蔦を伸ばしツァイの養分を、命を吸収しようとしたのはそれが必要であったからだ。
しかし頼光はそれを己の意志で拒絶した。
人の命を啜る、それを拒否したのは自分が人である為の最後の一線であると思ったからだ。
しかしその代償は確実に現れる。
今まで謂わばなすがままであった頼光が自分の意志で反抗し今なおその力を拒絶している。
だが今まで頼光がどれほど霊樹霊獣に助けられていたかわかっていない。
戦闘力だけの話ではない。
これまで当たり前のように冷気の呪いを跳ね返し無尽蔵とも思える体力を提供されていたのだが、今それが滞り始めている。
故に頼光は人並みに消耗し、思考能力が低下してきているのだ。
それでもまだ立っていられるのは頼光がいくら拒絶しようとも完全には拒絶しきれていないからである。
思えば大陸に不時着してから戦闘の連続。
寝ずの強行軍で疲労も極地に達しているのだ。
呪いも怒りも何もかもを投げ捨ててこの場で横になり眠りたい衝動に駆られる。
あかねと生還屋が核心へと近づいているというのに、気怠そうな目で見ているだけだった。
その言葉で出るまでは。
>「まさか忘れた訳じゃねえだろうな。……王様に会わせてくれって言ってんだよ」
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