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【大正冒険奇譚TRPGその6】

87◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:46:16
「つまり……不死の王についても、アンタは知ってた事になるだろうな。
 亡国士団を呼び戻したのもアンタだ。
 連中が何かの間違いで不老不死を手にしちまったら……そりゃあ面倒な事になるもんなぁ。
 他にも色んな事が、アンタの仕業って事なら説明が付く。試しに何か、聞いてくれてもいいんだぜ?」

答えはない――だが不意に音が響いた。
拍手の音だ。

「凄い凄い。君の言う通りだよ。君達みたいな人材を気軽に寄越してくるだなんて、日本が羨ましいなあ」

王の表情は変わらない。声色も、所作も、何も変わっていない。
極めて自然で、寸分違わぬ笑顔のまま――酷く不自然に、柔和な雰囲気だけが消えていた。

「……人が何人も死んでるんやで!アンタん国の人や!なのにそんな言い方!」

だが、あかねには、その事に気付けなかった。
人の、それも自国民の死をまるで気にもしていない素振りに動揺して、彼女は叫ぶ。

「……じゃあ、なんだい」

王の顔から、笑顔が消えた。
冷徹な気配を緩和していた物が無くなって、その落差が悪寒となり、あかねを襲った。

「深刻な反応をして欲しいのかい?だったらお望み通り……君達はここから帰せないな」

その言葉と同時に、君達の周囲に十を超える刃と、それを構えた黒衣の兵士が現れた。
厳密には――彼らはずっとそこにいたのだ。
水行を身に纏う事で気配を極限まで殺し、待機していた。
そして今、明確な殺意を抱いた為、水行による気配の相殺が失われ――

「……なんて、冗談だよ。ね?ボクがいかにもそれっぽい態度をしてたら、皆肩が凝っちゃうでしょ?
 これくらいの方がいいんだよ。誰にとってもね」

「こうなる事も分かってましたってか?……張り合いがねえな、つまんねえ」
 
生還屋がそう吐き捨てる。
王は気にした様子もなく、再び笑顔を浮かべた。柔和な雰囲気も元通りだ。
冒険者達を囲んでいた兵士達は、君達が気がついた時には既に見えなくなっているだろう。


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