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【大正冒険奇譚TRPGその6】
82
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:44:14
>「―――何故あの詰所で、私達を始末しようとしたのさ?
不意をついて殺す機会なら、最初から、いくらもあった筈だ。
いつ、何の切っ掛けで、私らが邪魔になったのか、さァ、答えて貰おうか?」
「……フェイもジンも、余計な事を教えすぎたんだよ。
俺が不死の研究をしている……それだけなら、国家機密には違いないけど、良かったんだ。
だけど、不死の研究をしている奴がいて、この辺りには昔から不死の王の伝承があって、
それで呪災が起きていたら……原因が何なのか、誰だって予想が付く。
……今思えば、焦り過ぎだったな。交渉材料として、手札を切らせておけばよかったよ」
だが、冒険者達が自分の非道に目を瞑ってくれたとは限らない。
実際、マリーなどは間違いなく糾弾――或いは断罪に走っていただろう。
そう考えればやはり、始末する他に手はなかった。
>「あんたが、私達の"始末"を依頼した結界師――あの男は、
マリー達の命を狙ったジャンって奴と同じ、亡国士団って部隊の人間なんだとさ。
あんたは、それを――あの男の所属を知ってて利用したのかい?」
「……?そりゃ、知っていたよ。でなきゃ交換条件なんて出せない。彼らが帰投を命じられたのは……
恐らく、王に約定を守るつもりなんてなかったからなんだろうけど、それを利用させてもらったんだ」
今ひとつ、気の抜けた答えだった。
返答を誤れば命にさえ関わる――その事はフーにもよく理解出来ている筈なのにだ。
恐らく確彼自身にも自覚はないが、確証のない確信を基に喋っているからだろう。
それくらいしか考えられない、で思考が完結しているのだ。
>「協力者はいない――って言葉、ありゃ本当かい?
いや、別に、この期に及んで疑ってる訳じゃあないが、陰謀の影に女あり、なんて言うしね。
まァ、協力者なんて類の者じゃあないのかもしれないが、
あんたが後生大事にしてるっていう幼馴染――…の、絵姿に、是非、私もお目に掛かりたいもんだね。」
「……だから君を、始末しておきたかったんだ。君は勘が良くて……性格が悪い」
背中に括りつけていた巻物の紐を解きながら、フーはそう言った。
静かに、沈んだ語調――心の底に深く沈めた失望の表面を突かれたような声色だった。
フーが絵巻を広げて見せる。
ただ墨で描かれているとは思えないほど瑞々しく、生命の波動さえ感じられる、明朗で闊達そうな女性の姿絵。
だが眼と感覚を凝らしてみれば分かるだろう。
その絵は脈を打ち、また墨に見える画材は紙の中を、小川のように絶えず循環しているようだった。
「確かに……彼女もまるで関係がない訳じゃない。君が知りたいのなら、話しておこうか……。
……彼女は、釘・留(ディン・リウ)。知っての通り俺の幼馴染で……俺と同じ宮中呪医。
そして……不死の法の研究を命じられた術師の一人だ」
「彼女は金行を得手としていた。……特に金行の不変性や、
金から転じて刃の持つ、深く突き刺さるという概念を、術として扱う事に。
概念に釘の姿を与え、何かを突き刺し、留める……心身の状態のような形のないものでも、そうする事が出来た」
「……この世の全ては、五行の輪……大きな循環の中にある。それは人間も例外じゃない。
死ねば魂は陽気として天へ、魄は陰気として肉体と共に地へ帰る。
だけど彼女は……自分の術なら、肉体と魂魄を、この世界に対して平行に、『今』のまま固定出来ないかと考えたんだ」
「そして試した。自分の体で……」
フーの言葉がそこで一度途切れた。
何処か顔色が悪いように見える――『その時』の事を思い出してしまったのだろう。
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