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【大正冒険奇譚TRPGその6】

79倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho:2013/09/02(月) 22:42:48
不死の王の遺跡が北方にある――という話は、冬宇子にとって、少々意外だった。
マリー達と情報を共有してから、フーの話を聞くまでの僅かの間、
冬宇子は、件の遺跡が王都にあるのではないか、と推測していたからである。

ツァイほどの術士が、呪災発生時の巨大な氣の異変を捉え損なう筈がないのだから、
呪災の発生源が北方戦線付近であること――これはまず確定と考えて良いだろう。
ならば、問題の遺跡も北方にある、と考えるのが妥当だ。
しかしそれでは、王都に展開されている、不自然な空白地帯の説明が付かない。
王都には、特定の一帯に、まるで市民や下級兵の出入りを嫌ったかのように、派兵を外された拠点や
避難所が設置されていない箇所があるのだ。

冬宇子がフーの話を聞く前に、組み立てていた推理はこうだ。

――――不死王の遺跡が呪災の引き金になった―――これはフーの見解と同じだ。
しかし、遺跡の場所は王都――清軍が王都に敷いた空白地帯が、遺跡の位置に関係している。
呪災の少し前、件の遺跡が何者かに盗掘され、不死の法を成すに不可欠の呪物が、
北方に持ち出されたとの噂が立った。
事の真偽を確かめるには、遺跡の内部を調査する必要がある。
不死の法追求は、秘中の秘――清国内においてもごく少数の関係者にしか明かされていない極秘事項である。
軍人や国内の者に探らせて下手に情報を掴まれるよりも、いっそ、何も知らぬ異国人を使った方がいいという判断か、
日本の嘆願所に冒険者派遣の依頼が出された。
そうして三日前、北方の地に持ち込まれた呪物によって、呪災が引き起こされた――――と。

けれども、フーの言葉を信じるならば、遺跡そのものが北方にある。
その位置を知る者は、今のところ彼一人。若しくは、ごく近しい弟子筋の術士にしか伝えてしない。
冬宇子は、どうにも、王都の空白地帯の謎が、頭に引っ掛かって仕方が無かった。
手荷物の中から、折り畳んだ紙を取り出して広げる。詰所から持ち出した王都の防衛拠点を記した地図だ。

「国防機密のど真ん中に触れる地図だが、堅いことは言いっこ無しだ。
 だいたい、私が、"これ"を持ち出したこたァ、あんた、もう知ってる筈さね。
 見てみなよ、この一帯……×印――兵の派遣を取り止めた拠点が、四箇所あるだろ?
 同じく、そのあたりにゃ難民のための避難所も設置されてなかった。
 まるで、この一帯への人の出入りを、意図的に避けているようにも見えるじゃないか。
 フー・リュウ…あんた、随分と軍にも顔が利くようだが、
 軍が敷いたこの空白地帯についても、何か、心当たりがあるんじゃないのかい?」

答えを待ち、フーの表情を伺いながら、更に問う。

「日本の嘆願所に、遺跡保護なんて名目の依頼を出したのも、あんたの差し金なのかい?」

不死王の遺跡を特定したのがフー・リュウであるのなら、
その遺跡を調査するために人手を要したのも彼だと考えても、矛盾は無い。
しかし、既に北方に、弟子筋の術士を送っておきながら、異国の冒険者まで呼び寄せるというのも妙な話だ。


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