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【大正冒険奇譚TRPGその6】

56◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:23:03
ブルー・マーリンが地を蹴った。
同時に視界の大部分を黒が覆う――彼が投げたコートだ。
即座に斬り裂く――が、既にブルーの姿は見えない。
あの一瞬で一体何処へ。

焦燥、思索、決断――自身の右方に結界壁を、格子状に築き上げた。
ツァイには右腕がない。必然、そこは斬撃の死角となる。
自分がブルーならば、右へ右へと回り込む戦術を取る。

だが――いない。結界壁は虚空を裂くのみだった。
ならば何処へ行ったのか――

「――悪いが、読めているよ」

上だ。
ブルー・マーリンに『それ』を意図していたかは分からないが、
ツァイの頭上。そこにだけは――結界壁は展開し得ない。剣状結界のみでしか対応出来ない。
自分ごと両断する訳にはいかないからだ。

ブルーは的確に、あるいは結果的に、ツァイの『急所』を見抜いていた。
だがそれ故に――ツァイもまた君の行動が読めてしまった。

ブルーが拳銃を構える一瞬前――ツァイは既に剣状結界を振り上げていた。
一手早い。足裏に魔力を展開して防御するにも間に合わない。
そして――――ツァイの体が一瞬、強張った。

一部の皮膚や筋肉が、炎に焼かれ続けた事で熱硬直を起こしたのだ。
それは身体の構造の変化だ。
腕が切り落とされた事と同じように――意志の力も及ばない。

「くっ……!」

一手が逆転した――銃声が響く。
ツァイの左腕を銃弾が貫いた。
苦悶の呻き声――鉄杭を取り落とす。

>「もう、…限界に近いだろう…休め」

そしてブルー・マーリンは――ツァイを殴りつけた。
石のように硬化した動死体の皮膚に減り込み、削ぎ飛ばせるほどの蹴りを使わず。
ただ殴り倒す事を選んだ。

それが一体何故なのかは分からないが――殴り飛ばされたツァイは、地に倒れ伏した。
もう立つ事は敵わないだろう。

しかし、ブルー・マーリンは――彼にとどめを刺さなかった。
ブルーは強い。それ故だろうか、命を奪おうと掛かってくる者にすら、不殺の姿勢で挑んでしまう。
それは命取りだ。

――大抵の場合、彼自身にとってではなく、他の誰かにとって。

「まだ……だ……まだ……やれる事は……ある……」

ツァイの左腕は熱硬直を起こしている。が、それは表面的なものだ。
熱はまだ内部までは浸透していない。
動作は緩慢になるが、無理矢理に動かせない訳ではない。


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