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【大正冒険奇譚TRPGその6】
55
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:22:17
まずは一人――頼光の頭頂部に生えた苗を切り落とし、ツァイは心中で呟く。
気を失った彼にとどめを刺すのは、いつでも出来る。
着衣に炎が燃え移る――関係ない。
どの道、焼け死ぬよりも、失血で死ぬ方が先だ。
次に仕留めるべきはあの欧州人――ブルー・マーリンだ。
彼の持つ超人的な俊敏性は脅威だ。一刻も早く無力化する必要が――
>「りた・のここ や・な・む・い よ・み・ふ・ひ―――べるふ とらゆらゆ べるふ!」
倉橋冬宇子が呪言を唱え、たちまち右腕の切断面、そこからの出血が再び勢いを増した。
治癒符の効果が打ち切られたのだ。
目が眩む――から足を踏みながらも、辛うじてツァイは持ち堪えた。
今倒れたらもう、立ち上がる事は出来ないと分かっていた。
咄嗟に右下腕に鉄杭を二本突き刺す。そして結界を展開した。
切断面の内側から、血管を堰き止める結界を。
より不完全にはなったが、止血は出来た。
この陰陽師の女は――強かだ。
今度こそ何も出来まいと思っていても、決して折れない。
的確に、こちらの首筋に喰らいついてくる。
優先すべき順番を間違えたか――そうだ。どの道、彼女を狙えば、あの欧州人もこちらへは向かってこれまい。
袖の裡から鉄杭を新たに取り出す――傷と失血、衣服に燃え移った炎で手元が覚束ない。
数瞬の遅れ――左拳に鉄杭を握り、剣状結界を伸ばす。
>「鎮大災伏!」
響き渡る硬質な音――弾かれた。
>「霊護結界だよ。随分と見縊ってくれたようだが、私にだってこれくらいの結界は作れるんだよ。
あんたほどの術士なら直ぐに見抜くだろうから、種を明かしておくが、
効果を持続させる為には、印を解けないし動けもしない。
不自由な結界だが、あんたの剣みたいな結界を弾く事くらいは出来る筈さ。」
凄絶な笑み――失血による体温低下、それとはまた違った悪寒が背筋を伝った。
>「さて、どうする?
ご自慢の結界も、飛び道具も使わずに、どうやって私を殺すのさ?
まずは、私に印を解かせて――それから、絞め殺すのかい?それとも殴り殺すか?
動けば余計に出血する。私が殺されるのが先か?それとも、あんたの意識が無くなる方が先か――?
生死をかけた我慢比べになりそうだねえ!」
「……手は……まだあるさ」
ツァイは掠れた声で呟く。
「だが……まずは……君を仕留める所から……始めねば……な……」
そしてブルー・マーリンへと向き直った。
>「…もう、やめようや」
>「…いい加減、もう、やめようや…」
「いいや、やめないよ……いい加減かどうかは……私が決める事だ。君が決める事ではない……」
ブルー・マーリンにとってこの殺し合いがどんなものであれ――ツァイにとっては必要な事なのだ。それこそ自分の命よりも。
そして、最早ブルーに冬宇子を庇うように動く必要はない――――来る。
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