したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【大正冒険奇譚TRPGその6】

34◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:08:33
ダー・ジョンは天才だ。
少なくとも単純な武術勝負になれば、彼は大陸随一の拳士だろう。
その彼が放つ八閃翔はまさに炸裂の豪雨とでも言うべき秘拳だ。
最初の八手を避けられた者すら数えるほどしかいない。
そこから攻勢に転じられた者となれば――皆無だった。

>「舐めるなぁ!」

「――っ!なんで!なんで避けてんだよテメェはよぉおおおおおおお!!」

当たらない。
服や皮膚を掠め、血を流させる事は出来る。
反撃だって許していない。
どう考えたって自分が優勢――なのに決まり切らない。

「くぉの糞アマ!さっさと……喰らいやがれッ!」

かつてない経験による苛立ち。
それがダーの打拳をほんの少しだけ乱れさせた。
軌道が外に膨らんで、マリーへの到達時間が極々僅かにだが、伸びた。
本当に小さな乱れ――だが一流の戦闘者同士の間では、それが致命的な隙になる。

マリーが構えた。
最小限の足捌きで打突の内側へ。
回避運動による体重移動をそのまま最速の行動準備として。
拳を固め――

(――ッ!やっちまった!コイツは……やべえ!)

ダーが己の失敗を悟る――だがもう遅い。

>「もらったぁ!!!」

ダーの拳を迎え討つように、反撃の拳が放たれる。
彼の術はあくまで重さを変える術だ。
密度を変えている訳ではないのだから、肉体的な強度は変わらない。
だがダーは打拳の直前、まだ拳を緩めている状態。
そこに全力の突きを打ち込まれれば――拳が砕けてしまう可能性は十分にある。

(だが甘いぜ!この周りの炎があれば俺ぁいつでも上へ逃げられんだ――)

ダーはにやけ、そして逃げ場である空に視線だけを向けて――

>「もしかしたら貴方に屈辱を味合せてあげることができるかもしれません。
  敗北を味わってこそ、人は成長できるものなのです!」

そこには既に鳥居がいた。

「なにィ――――ッ!?クソッ!テメェ!なんでテメェがそこにいやがるッ!」

完璧な二段攻撃だった。
鳥居の攻撃を回避しようとすればマリーへの対応は間に合わない。
マリーの拳を避けようとすれば鳥居の直撃を貰う。
急造にしては出来過ぎているくらいの連携攻撃――流石のダーも完璧には躱し切れない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板