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【大正冒険奇譚TRPGその6】

102鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72:2013/09/02(月) 22:55:58
馬車に揺られながら、鳥居呪音は悶々と考えていた。
清王の言ったこと、見られないことと、見ないことは違う。
その意味を…。

鵺の洞窟で、神気の力で人の子に戻った。
そのときから、何百年ぶりかに太陽の下の世界をみた。
嬉しくてはしゃいで、ホマレヤマでは倉橋冬宇子に抱きついた。
それは自分が拒絶されうる存在では最早ないと思っていたからだ。

予想通り、倉橋はいい香りがした。
だから鳥居は「お母さんのかおりだ〜」とか言ってしがみついた。
だが、頭に思いっきり握り拳固をお見舞いされた。

そう、倉橋は鳥居の母親と同じ術者だが、当然本当の母親ではない。
細い糸を手繰り寄せるかのように、繋がりを求めても
それは所詮紛い物。ほんものではないのだ。
故に鳥居は悟る。
母親と同じ存在を、この世ではもう二度と見ることはないだろうと。
母親のように鳥居を愛してくれる人なんてすでにいないのだ。
必死に世界に目を凝らして見ても何もない。ただの無常の繰り返し。

それなら自力で孤独を埋めるしかないのだろう。
だから鳥居は、不死の王に会ってみたいと思った。彼が何を見ているのか知りたいと思った。
不老不死に成り立ての清王では、ダメ。と思う。
そして、倉橋が言葉にした完全なる不老不死。
不老不死に完全なる状態があるのなら、その者はいったい何を見るのだろうか。


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