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大正冒険奇譚 臨時避難所
93
:
鳥居 呪音
◆h3gKOJ1Y72
:2013/11/13(水) 01:26:35
>「時が、本物の気持ちを駄目にしてしまうんだよ。
だから僕が、そうなる前に凍らせてあげるんだ」
うぷくっ…、と鳥居は唸った。
少年の言う通り、消えていった気持ちの中にも本物はあるのだろう。
でもだからといって、気持ちを凍らせてしまったら本物も嘘になってしまうのではないか。
人間というものは尊い思い出を、記憶の大切なところにしまっておくものだという。
確かに大切なものが消えてゆくことは悲しいことで、
鳥居もなんとかそれを克服できないものかと思い
ここまできたようなものだ。
「でも、君の心のなかにはまだ残ってるんでしょ。
王様になでなでしてもらって、嬉しかったきもち……」
「もしかしてそのきもちも凍らせて残しているの?
さみしさが君を壊してしまうから?」
鳥居は小さい子と話す時のように問いかける。
少年はある意味妥協しているのだと思う。
気持ちは変わってしまうから
術の力で凍らせるしかないと諦めているのだ。
そして、ぶつかり続ける冷気と神気の炎。
鳥居は少年に、諭すようなことが言えて、ちょっとした達成感もあったが、まだ彼の心には届いていないようだ。
勝手に命を凍らせることはダメなことと、もっと説得力のある教えかたはないものかと考えてみる。
すると倉橋が……
>「……だったら自分はどうなのさ?
>自分が何の為に、何をしに、ここに来たのか……
>いい加減見極めて、肚を据えるこったね。」
「……え?」
倉橋の言葉に、ぎょとして目を見開いてしまう鳥居。
鳥居は少年に対して、自分が正しいと思っていることを言った。
それは嘆願とは別のこととしてだ。
だが鳥居は、倉橋に本性を見透かされたような気もする。
まるでそれは、やわらかいお腹を冷たい指先でなでられた感じがして
思わず心をよじってしまうのだった。
「し、仕方なく嘆願を受けてて何が悪いんですか?
そもそも僕は、遺跡を守るために来たんです。それと遺跡に興味があったからです。
でも倉橋さんが嘆願をこなすわけはお金のためですよね?
汚いお金でも何でも、お金さえもらえたら幸せなんですよね。
会えば皮肉みたいなことばかり言っちゃって
馬車のなかで言ってたこともそうです。
自分が只の女給だからって
僕がサーカスの団長をやってるのをあなたは僻んでるんですよ」
そこまで言って、鳥居は慌てて手で口を押さえる。
支離滅裂というか、理路整然とは程遠いことを平気で言ってしまうこと。
こういうところが幼いと言われる所以なのかもしれない。
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